IT仕事塾

ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第1回 横河キューアンドエー「ユーザーサポートシステムでの活用」(3/4)


前のページ

メールサポートの一連の流れをファイルメーカーProで自動化・共有化

 では、現在、同社でファイルメーカーProはどのような利用をされているのか、具体的に聞いてみました。横河キューアンドエーでは、ファイルメーカーProを、ほかのデータベースソフトやメールサーバとつなげています。とくに、その効果は、メールでのサポートに顕著に現れているようです。それが、2年ちょっと前に開発されたメールサポートソリューションです。

「電話の場合ですと、電話をとった人が解決するとか、その人のなかだけでクローズできる場合が多いんですが、メールの場合は、受信してだれがそれを処理するのかと、答えを書いて、文章を構成するのは誰だ、というところがどうしても複数の人間がからんできます。一人でぜんぶできる規模のサポートセンターであれば、メールクライアントを使ったサポートでいいんですけど、複数の人間がからむと、履歴とかステータス、メールがいまどういう状況にあるかということの管理ができないのです。そこで、プログラマーを使って、ファイルメーカーProとLinuxのデータベースをつなげるシステムを作りました。メールをファイルメーカーProの中に取り込んで、そこでみんなと情報共有して、答を書いたら自動的にサーバのほうがメールを送信するというプラグインを作りました」と師岡氏。

 そのシステムができる以前は、メールを受信して送るまでには人間がサポートしていたそうです。そうすると、一人の担当者が受信してしまうと、それはほかの人が見ることはできません。受信したメールが最初にそのメールを読んだ担当者のマシン1カ所にたまってしまうことになります。これでは情報の共有はできません。この状況をなんとかしようと考えたのが、メールをデータベースに取り込んで、そのメールをファイルメーカーProを使って全体で共有し、返信まで行ってしまうシステムです。


 Linuxのデータベースには、PostgresSQLとMySQLを使っており、届いたメールをLinuxにインストールされているプラグインのプログラムを使い、メールサーバから取り込んで、それをファイルメーカーのデータベースの中にためていきます。ファイルメーカーProは、ここではインタフェースとして利用します。メールに回答するスタッフが、ファイルメーカーProのシステムに取り込まれたメールでの質問に回答をつけていきます。別のスタッフが回答したりする場合もあるでしょう。そして、ファイルメーカーProのシステム上でメールを送っていい段階になると、プログラムがこの回答ピックアップして、メールサーバを使って送信する、という流れになっています。


横河キューアンドエーのファイルメーカーProデータベースの画面。基本的には、この画面をベースに各クライアント別にカスタマイズを行い、必要な情報を記録できるようにしていく

 この仕組みは、1つのクライアントだけに適用されたものではなく、メールのサポートがあり、メールのバックエンド処理を自動化したいニーズがあれば、カスタマイズ可能になっています。「どういう属性情報や要素があっても、そこからメールが必要な情報だけ取り出して、流し込むという仕組みを作っています」と師岡氏。

 「いまでこそ、いろいろな形のコールセンターがあって、いろいろな形のサポートをやる会社が増えてきていますけれども、当社は、大きな会社ではないので、ある程度ニッチ的なかんじでメールの対応がほかよりも自信があります。小さなソフトウェアを開発したんだけども、サポートは置けない。電話もおけないから、メールでの対応だけをやってくれ、だとか、そういったことにも対応します。小さなタスクをいっぱい扱うことにも、ファイルメーカーはすごく機敏に対応できるので、使っています」と林氏は付け加えます。


サポートの現場では、このようにファイルメーカーProベースのシステムが活用されている

[松尾公也, ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 3/4 | 次のページ

ピックアップ

news139.jpg 週末アップルPickUp!:絶好調のApp Store、ユーザーに34億円返金へ
アップル関連の話題を何となくまとめる週末アップルPickUp!。今週は未成年者によるアプリ内課金問題を取りあげます。

news020.jpg 24時間動作+4バンドLTE+11ac+SIMフリー(予定):もしかして“無双”? ツウ好みの高性能LTEルータ「AtermMR03LN」をねっとりチェック(パフォーマンス編)
“ツウ好み”の機能や特長を多く備えるLTEルータ「AtermMR03LN」がモバイラーの中で人気だ。前編の機能チェックに続き、後編では実運用して分かった使い勝手とパフォーマンス面をねっとりチェックする。

news041.jpg 最新タブレット速攻レビュー:「MeMO Pad 8」──“Winタブ”よりお手ごろ価格な8型Androidタブレット
8型タブレットとなると最近はWindows 8.1搭載モデルが人気だが、同サイズでAndroidなら“もっと低価格”である。2万円台で買える8型タブレット「ASUS MeMO Pad 8」をチェックする。

news052.jpg 最新PC速攻レビュー:「VAIO Pro 13」――さらにハイスペックを軽快に持ち運べる“14春モデル”徹底検証
高い人気を誇る薄型軽量モバイルノート「VAIO Pro 13」が、より高性能なCPUを搭載可能になった。その実力を確かめるべく、直販ハイスペックモデルをじっくり検証する。

news062.jpg 「3年先を行く」製造技術:タブレット市場に注力するIntelのモバイルプロセッサ戦略
Intelは“他社の3年先を行く”半導体製造技術でタブレット市場における影響力の拡大を目指す。同社のモバイルプロセッサ戦略をまとめた。

news116.jpg LaVie Z&LaVie G タイプZロードテスト:第23回 2560×1440解像度スゴイ……格段に作業効率が上がる「超高解像度ディスプレイ」
ウルトラ軽量に加え、「超高解像度ディスプレイ」もLaVie Z(IGZOモデル)の魅力だ。今回はこのディスプレイの使い勝手と応用方法を考えてみた。

news107.jpg SOHO/中小企業に効く「ビジネスPC」の選び方(2):Windows XPから乗り換えるべきは“7”か“8.1”か
Windows XPのサポート終了に際して、どのようなPC環境に移行すべきか? まずはWindows 7か、Windows 8/8.1か、次のメインOSを選択する必要がある。

news057.jpg NUCやUltrabookをもっと速く:アキバで人気のSSDにmSATA版が登場――「Samsung SSD 840 EVO mSATA」徹底検証
抜群のコストパフォーマンスで高い人気を誇るSSD「Samsung SSD 840 EVO」にmSATA版が登場した。容量が1Tバイトまで用意されているのも興味深い。早速、性能をチェックしよう。

news033.jpg SOHO/中小企業に効く「UPS」の選び方(第2回):「UPS」を正しく選ぶコツ――容量の計算方法は? 給電方式とは?
「無停電電源装置(UPS)」の基礎知識から、機器に合った製品選びまで、順序立てて解説する本連載。第2回は、UPSの選定で知っておくべき、容量の計算方法や給電方法の違いを紹介する。

news032.jpg 「ThinkPad X240s」ロードテスト:第4回 大きく変わった「5ボタントラックパッド」を快適に使えるようにする、2つのコツ
業務に使うPCとして積極的にThinkPadを選んできた理由の1つに「トラックポイント」がある。今でもノートPCに搭載するポインティングデバイスとして唯一無二の存在だと確信しているが……。