ChatGPTのo1は「ノーベル賞ものだと思う」──孫正義氏による“成年の主張”
「これ(o1)はノーベル賞ものだと思う」──ソフトバンクグループの孫正義代表取締役社長は10月3日、グループの定例イベント「SoftBank World 2024」(東京都港区)の基調講演で、米OpenAIが9月に発表したLLM(大規模言語モデル)「o1」に受けたという感動をこう表現した。
2023年のSoftBank Worldでは「ChatGPTを使っているか」と来場者に問いかけ、使っていない人を「悔い改めた方がいい」と叱責した孫代表。2024年も同様の質問を行ったところ、半数から7割近くが手を挙げた。しかし孫代表は追加で、o1を利用しているかどうかも質問。来場者はちらほらと挙手するにとどまった。このリアクションを受け、孫代表は冒頭のようにo1に受けた感動を語った。
o1はユーザーの入力に対して深く考えて回答する点を特徴とするモデルだ。GPT-4などと比べて回答は遅いが、OpenAIによれば物理学、数学、生物学において博士課程の学生と同等のパフォーマンスを発揮するという。
孫代表は過去のGPTシリーズについて「必ずしも考えてはいなかった。考えているように見えても言葉の数珠つなぎだった」と評価。一方でo1のことは「考える能力を持つ」「(考える)深さに喜びがある」と評した。
「(子どもは)何かをやって良かったことがあると、それをもう一度繰り返す。お母さんにぶん殴られるとやめる。子どもはこの報酬、強化学習で脳が鍛えられる。o1は、これを超並列でやる。数千のエージェントが同時に試行錯誤する。皆さんの会社では、数千のエンジニアが1日で並行して数億回考え込むことができますか。絶対できない。今までは(人に)待たされたら怒っていたが、今は待つのがうれしい」
そしてo1のようなAIにより「知のゴールドラッシュ」が訪れると予測。自身が講演当日の朝、o1に投げかけた質問を例に、発明の“早い者勝ち”が起こるとの未来図を描いた。
「今朝、o1に『1000万円を1億円にして返してほしい』と質問してきた。株だとか為替だとか口座を開いて、戦略とメカニズムを具体的に述べよと。ばかみたいな質問だが、もしこれが実現したら、みんな毎日使いたいと思うはず。みんなが使えばどうなるかというと、これは早い者勝ち。人が知らないことを先に考えさせて、先に課題解決をさせる。従って、速さがうれしいのではなく深さがうれしい」
孫代表の「成年の主張」
孫代表はさらに、AIを個人に最適化させた「パーソナルエージェント」にも期待を寄せた。「自分や家族の病歴・健康状態を知っていて、応急処置をどうしたらいいか、開いている最寄りの病院に連絡してくれる、Eコマースで代わりに買い物をしてくれる、投資もしてくれる、あなた専用の家庭教師もしてくれる」「24時間、自分専用のエージェントがあったらいいと思う」とイメージを述べ「私は、これが3年以内に始まると思う」と予測。果てはパーソナルエージェント同士が交渉する「A2A」(Agent to Agent)や、それがモノに及ぶ「AoT」(Agent of Things)に発展するとした。
とはいえ、AIを巡ってはセキュリティの危険、権利侵害の危険、さらには人類の破滅につながる危険など、さまざまなリスクが取り沙汰されている。個人に最適化したものとなれば、その危険も増すかもしれない。しかし孫代表はその懸念についても切り返した。
「AIを人工知能だけで終わらせると有能だけど危険。恐ろしい兵器になる可能性もある。これを『人工知性』の世界まで進化させる。パーソナルエージェントで言えば『あなたの幸せ』を強化学習、AIにとって最大の報酬になるよう設計すべき。これが私の言う、超知能(Artificial Superintelligence)を超えた『超知性』。(この設計をすれば)人類は破滅することなく、より幸せな世界をもたらしてくれると思う」
最後は「この超知性の時代が10年以内に来る。これが、今日の私の“成年の主張”」としゃれで締めくくり、会場の笑いを誘った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia AI+に関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
引退した人型ロボ、“溶けた鋼の海”に沈む アーノルド・シュワルツェネッガー氏が提案 米企業が動画公開
-
2
「FDE」は常駐SEのすげ替えなのか “人月商売の死”を打破したい国内SIer、打開策は意外なところに?
-
3
総額2.3兆円、千葉市に巨大な「AIデータセンター」建設へ 発電大手JERA参画の“ドリームチーム”、勝機どうつかむ?
-
4
ChatGPTにAIでバーチャル試着機能とカメラでの書類スキャン→PDF化機能
-
5
SIE、PS5向けAI採用画質向上技術「QSSR」発表 AMDと共同開発、「Marvel's Wolverine」と「Ghost of Yōtei」が初対応
-
6
Google、「Gemini 4 Pro」ではなく「Gemini 4 Argon」発表 まずはサイバー防御組織に限定提供、出力上限は100万トークンに
-
7
人間は「取締役2人だけ」 実務をAIが担う新会社、セキュリティサービスのHENNGE
-
8
「まず、その業務なくせない?」 野村不動産HDが経理DXで「年間9000時間」を生み出した“引き算”の考え方
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「AIを使えば早くできるでしょ」と言われがち――エンジニアを困らせる"勘違い"の正体とは?
SpecialPR
ITmedia AI+ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmedia AI+をフォロー
あなたにおすすめの記事PR