2025年という新たな年が始まりました。しかし昭和生まれの生成AI初心者にとって、年が変わっても新鮮味がありません。そこで新たな気持ちで仕事に取り組むべく、「生成AIデビュー」をお勧めします。
プロフィール
ITスタートアップ社員として、AIやデータサイエンスについてSNSによる情報発信で注目を集める。同社退職後は独立し、企業におけるChatGPT及び生成AIの導入活用やDX(デジタル・トランスフォーメーション)を支援している。企業研修において、JR西日本、シーメンスヘルスケア、日立製作所などの実績がある。イベント登壇はソフトバンク、特許庁、マクニカ、HEROZを含め多数。東京大学と武蔵野大学にて、特別講義を実施している。著書に「データ分析の大学」「AI・データ分析プロジェクトのすべて」「これからのデータサイエンスビジネス」がある。10月23日には最新書籍「会社で使えるChatGPT」を発売した。
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初心者は生成AIに対して、「間違いとうそばかり」「プロンプト(命令文)が分からない」「自分の仕事には必要ない」という印象を持っています。2022年11月のChatGPT発表直後から否定的な意見は根強く、実際に体験したものの望んだ成果を得られずに失望感を抱く人も多いでしょう。
しかし現在ではこうした悪評を覆す進化を遂げており「昭和」と「令和」ほどの違いがあります。まずは生成AIに対する古い印象を、現在の常識にアップデートしましょう。
事実として発表直後の生成AIでは回答における間違いが多くありました。さらに特定の世代は初めて知ったAIが昔のゲームであった「ボスに即死魔法を繰り返す」という悪いイメージもあり、否定的な印象が根付いてしまいました。
しかし、生成AIは精度向上と学習を繰り返して、大幅に精度を向上させており、完璧ではないですが、現在では劇的に間違いが減っています。さらに答えられない質問には回答しませんし、回答に対する根拠を示してくれます。
生成AIは「プロンプト」と呼ばれる命令文で指示を出します。発表直後は正確な指示でなければ求める回答を得られず、プロンプトにおいて細かなテクニックが要求されて扱いにくい印象がありました。
しかし、精度向上によってプロンプトにこだわらなくても適切な回答が得られます。大まかな指示でも、おおむね正しい結果が得られるので、必要に応じて修正指示を出せば問題ありません。
以前は「自分の仕事は人間でなければ出来ない」「自分の仕事に生成AIは関係ない」という意見が多く見られました。実際、専門知識が必要な分野において、生成AIが対応できる作業は限定的です。
しかし、定型的な作業や専門知識が不要な作業は、生成AIで代行できます。決められた作業を繰り返すだけでなく、自発的に作業を行う仕組みも開発が進んでいます。さらに専門知識を生成AIに学習させる取り組みも進んでおり、生成AIが役立つ場面は多岐にわたります。
登場当初の生成AIは無料で使えるものの、精度の問題などもあって使い勝手に不満がありました。機能も制限されており、仕事では使えないという意見がありました。
しかし、精度の向上が行われて新たな機能が提供されました。おかげで一般的なビジネスパーソンの業務でも、生成AIを活用できるようになりました。
出始めの生成AIは、扱えるのが文章だけで機能が限られていました。そのため「メールの文章作成だけでは役に立たない」という印象を持たれていました。
しかし、画像の認識や生成、オフィスファイル(Word・Excel・PowerPoint)の登録と生成、音声対応など、扱えるデータの種類が拡大しました。おかげで用途が広がり、さまざまな場面で利用できるようになりました。
生成AIの登場以前から、AIが人間の仕事を奪ったり、リストラの道具に使われると危惧されてきました。しかし、実際には人手不足が顕著になり、生成AIは人間の仕事を助けるパートナーという役割が期待されています。
生成AIは「仕事を奪う存在」ではなく「仕事を支援するパートナー」になっています。もっとも人間がリストラされたとしても、原因は生成AIではなく業績悪化や本人の資質でしょう。
以上のように23年ごろの生成AIに対する古い印象は、25年1月時点の実情において大きく変わりました。「昭和の常識」が「令和の非常識」になったのと同じです。生成AIにおけるイメージを「役に立たない」と古い印象のまま引きずらず、現在の常識にアップデートしましょう。
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