メディア
ITmedia AI+ >

AIによるコンテンツの“無断加工”は禁止――AVメーカーが注意喚起 「著作権の侵害にあたる」と指摘

» 2025年09月16日 15時33分 公開
[ITmedia]

 アダルトビデオの作成や販売を手掛けるギガ(東京都港区)は9月15日、同社のコンテンツを許可なくAIで加工しないよう注意喚起した。「著作権法をはじめとする各種権利の侵害にあたる」と指摘している。

AIによるコンテンツの“無断加工”は禁止――AVメーカーが注意喚起

 同社は「公式サイトや映像作品に関する画像・動画を、AIツールなどで無断生成・加工する事例がSNSなどで確認されている」と説明。コンテンツの著作権はギガに帰属しており、「許諾なく、これらの制作物を使用・改変・AIツールなどへアップロードする行為は禁止」とした。また「権利侵害が確認された場合には、法的手段を含む厳正な対応を取る」と警告している。

ギガの注意喚起全文(出典:公式Xのポスト)

 アダルトビデオ事業者とAIを巡っては、アダルトビデオ女優のマネジメントなどを手掛けるBstar(東京都渋谷区)が11日、所属タレントの写真を利用し、生成AIで画像や動画を作らないよう注意喚起。理由は「本人の肖像権や著作権などの権利を侵害する可能性があるため」としていた。

 生成AIによる画像の加工は、4月頃に「ChatGPT」の画像生成機能でジブリ風に変換した画像がSNSで流行した。その後、8月末頃から、米Googleの画像生成AIモデル「Gemini 2.5 Flash Image」(通称:nano-banana)の発表もきっかけとなり、画像のフィギュア風の加工が注目を集めている。

 一方、X上では、他人の制作物をAIで加工した画像などが見られたことから「著作権的に問題があるのでは」といった指摘も出ていた。

 経済産業省は、コンテンツ産業で生成AIを利用する際の注意点などをまとめた「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」(2024年7月公開)の中で、AIと著作権について「従来の判例・裁判例では、(1)類似性(既存の著作物と類似しているか)と(2)依拠性(既存の著作物に依拠しているか)の両者が認められる場合に、著作権侵害になるとされている。AI生成物の類似性や依拠性の判断も、従来の判断方法と基本的に同様」との見解を示している。

AIと著作権に関する注意点(出典:コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック、以下同)

 また同ガイドブックの中では、生成AIサービスを利用する際には、利用規約で定められた制限などを確認する必要があるとしている。一方、ChatGPTや、GoogleのチャットAI「Gemini」のアプリでは、ユーザー自身が権利を持つコンテンツだけを同サービスに入力するよう、利用規約などで定めている。

生成AIサービスを利用する際の注意点
ChatGPTの利用規約には「お客さまは、当社の本サービスに提供するインプットに必要な全ての権利、ライセンス、及び許諾を得ていることを表明し、保証します」と記載(出典:公式サイト)
Geminiのアプリの「プライバシー ハブ」には「アップロードや生成、編集は、ご自身が権利を有しているコンテンツに対してのみ行ってください」と記載(出典:公式サイト)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ