ニュース
社内向け「画像生成AIガイドライン」 サイバーエージェントが策定 「既存作品や作家名の入力は禁止」
サイバーエージェントは、社内クリエイター向けに「画像生成AIガイドライン」を策定したことを発表した。「プロンプトに既存著作物や作家名、作品、著名人、有名人の名称の入力を禁止する」などの項目を設け、2月から運用中という。
サイバーエージェントは4月3日、社内クリエイター向けに「画像生成AIガイドライン」を策定したことを発表した。クリエイティブ部門の役員や法務部門、システムセキュリティ部門などのメンバーが策定し、社内では2月から適用中。オウンドメディア「CyberAgent Way」では、策定に至った経緯などを明かしている。
ガイドラインで挙げている禁止事項や注意点、順守事項などは以下の通り。
禁止事項
- 画像生成AIでの機密情報や個人情報の利用
- 既存著作物に類似した内容を生成させることを目的とした追加学習モデルの利用
- プロンプトへの既存著作物、作家名、作品、著名人、有名人の名称の入力行為
- 許可なく他者の著作物、商標、意匠、肖像などを画像生成AIに入力・アップロードしての生成行為
注意点と順守事項
- 生成物の利用前に必ず類似チェックを行う
- 生成物をそのまま利用するのは極力避け、類似した生成物に留意し、必要に応じて加筆・一部変更するなどの工夫を行うことを推奨
- システムやセキュリティ推進グループ、法務によるツール、モデルの事前審査を行う
同社はガイドライン策定の経緯について「生成AIでの画像生成は、現行法ではさまざまな解釈が可能で、国としてのスタンスも明確ではない。ただ、全てが整備されてから画像生成AIの活用方法を検討するようでは、会社としてあまりに負のインパクトが大きいと考えた」とし「法整備後に正式なスタートダッシュを切れるよう、現時点で会社が安全であると定めた範囲内での利用を促すべく、策定した」と説明している。
社内での画像生成AIの利用フローには、理解度テストを設けて合格しなければ利用できない仕組みを構築している。また現時点では主に、素材画像の生成での利用を想定。従来は画像素材サービスなどで探していたが、「Adobe Firefly」などの商用利用できる画像データを生成するサービスの利用による作業効率化を検討している。
関連記事
- サイバーエージェントはなぜ“基盤モデル”を開発するの? 生成AIブームの今知りたい、AIベンダーの動向
生成AIブームの今、注目のキーワードが「基盤モデル」だ。各AIベンダーたちの間で基盤モデルの開発競争が激化する中、それぞれの開発状況や強みを探っていく。今回は、サイバーエージェントに話を聞いた。 - AIは論文発表を変える? 民間企業が“学会で発表する意義” サイバーエージェントなどが議論
企業において、研究開発組織はどのような役割を果たすべきなのか。AIは、研究開発をどう変えていくのか。サイバーエージェントとCygames、パナソニックホールディングスの3社で研究組織を率いる3人が議論を交わした。 - 2024年の生成AIはどうなる? サイバーエージェントなどIT企業4社の“本音” 「OpenAI強すぎる問題」に活路はあるか
ChatGPTが注目を集め、生成AI導入の機運が一気に広がった2023年。日本で生成AIの開発、実装に携わるIT企業4社が生成AI活用の現状と2024年の生成AIの展望を語った。 - サイバーエージェント、再び大規模言語モデルを無料公開 3万2000トークンに対応 商用利用もOK
サイバーエージェントは、商用利用可能な日本語大規模言語モデルを無料公開した。 - サイバーエージェント、ゲームとアニメのAI研究機関を新設 各制作フローで生成AIの活用法探求
サイバーエージェントは、研究機関「ゲームAI Lab」と「アニメーションAI Lab」を新設すると発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.