JR東が「鉄道版生成 AI」開発へ 鉄道固有の知識を学習、経験浅い社員の知識レベル底上げに

JR東日本は、鉄道固有の知識を学習したAI「鉄道版生成 AI」を開発すると発表した。鉄道に関する法令・規則や、属人化していた業務知識や仕事のノウハウをAIに集約し、社員の業務効率化を目指す。

[松浦立樹，ITmedia]

　JR東日本は10月8日、鉄道固有の知識を学習したAI「鉄道版生成 AI」を開発すると発表した。鉄道に関する法令・規則や、属人化していた業務知識や仕事のノウハウをAIに集約し、社員の業務効率化を目指す。2027年度末での完成を目標に、段階的に開発を進める。

JR東が「鉄道版生成 AI」開発へ

　ベースとなるAIモデルは明かしていないが、日本語で学習した大規模言語モデル（LLM）を採用すると表明しており、すでに日本語LLMをもつパートナーとの開発を進めているという。まずは25年度上期までに鉄道関連の法令や社内教育資料を学習した「鉄道事業基礎AI」を開発する予定。

鉄道版生成 AIの開発スケジュール

JR東のこれまでの生成AIに関する取り組み

　AIの活用例としてJR東は「客からの問合せへの回答をより迅速に行うことや、新入社員や鉄道経験年数の浅い社員の知識レベルの底上げに活用し、ベテラン社員が隣にいなくても生成AIから同等のアドバイスを受けられるようになることで、サービスの向上につなげていくことを想定している」と説明している。

鉄道版生成 AIの利用イメージ

　また、鉄道版生成 AIが専門的知識を学んでいくことで「設備や車両のメンテナンスや工事における注意点や過去の発生事象を例示して作業の安全性を高める」「専門領域ではない鉄道業務の知識が必要になるような分野をまたがった調整を行う際、他分野の社員に聞かなくてもAIから回答を得られる」などの効果にも期待を寄せている。

鉄道版生成 AIで実現したい業務イメージ