希少生物発見の記事なのに“AIイメージ画像”──科学メディア「ナゾロジー」が物議 運営企業に見解を聞いた(2/2 ページ)
「オレンジ色のサメ」「白色のキーウィ」──こんな希少生物を紹介する科学情報サイト「ナゾロジー」が物議を醸している。記事自体は実際の論文や報告を扱っているものの、記事内やSNSにはイメージ画像としてAI画像を掲載しているからだ。運営会社の見解を聞いた。
以下がナゾロジーからの返答内容(原文ママ)だ。
1点目は、画像・映像資料の著作権や一次情報の価値を尊重し、画像本来の所有者や報告者による発信を優先するためです。話題となった希少生物や新発見に関する一次資料は、発表者や研究者自身のSNS・論文等で公開されている場合が多く、転載によってその流入や反響の一部が奪われてしまう懸念があります。
当サイトでは、そうした資料の価値を損なわないよう、一次情報はなるべく発信元で直接ご確認いただくよう誘導し、イメージ画像にて記事の概要や雰囲気を伝える方針を採っています。
2点目として、科学や研究に興味を持つきっかけを幅広い層に提供し、発信者と読者の双方のメリットとなる情報拡散を目指しているためです。実際、当サイトでご紹介した研究者や発信者の方から、「ナゾロジーの記事で取り上げられたことで、自身のブログやSNSへのアクセスが飛躍的に増加した」といったご報告・ご感謝の声を多く頂戴しております。
当サイトの目的は、あくまで世界で行われている科学的な発見や報告を広く伝え、科学振興や研究者の活動支援に寄与することにございます。
以上の理由から、ナゾロジー編集部ではAIイメージ画像の活用を一つの手法として選択し、読者の関心喚起とともに、一次情報への適切なリスペクトや発信元誘導を両立できるよう工夫しております。今後も科学的な価値と著作権の両立に十分配慮しつつ、社会的責任をもって記事制作に努めて参ります。
生物のフェイク画像は“検索汚染のリスク”あり
誰でも簡単にテキストや画像から、画像を作成できる画像生成AIは、便利に使える反面、悪用もできる。過去には水害の被災地域のフェイク画像をSNSに投稿してインプレッションを稼いだり、実在する人物と偽って詐欺をしかけたりする事例もあった。
生成AIは、最もらしいうそを出力する現象「ハルシネーション」を起こすことがある。そのため生物のAI画像を生成した場合、科学的にはあり得ない特徴を画像に反映するリスクがある。これにより、検索エンジンを汚染する恐れもある。特にその生物に詳しくない人たちにとって、AI画像と本物の生物の画像を見抜くのは困難なため、誤った情報が伝達してしまう可能性がある。
今回のオレンジ色のサメについても、Google検索で「オレンジ サメ」と調べると、ナゾロジーのフェイク画像がトップにくる状態になっているようだ(28日現在)。
そのため、本物の写真に見えるようなAI画像を発信する際には、透かしや「この画像はAIによって作成したもの」と示す注釈などを入れる形が望ましい。また、画像検索時にフェイク画像を見つけた場合、Googleなどのサービス運営企業にフィードバックを送ることで検索画面から除かれることもある。
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