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「生成AIで声優はピンチ?」――大手事務所代表が回答 音声AIで“声の保護と多言語化”する団体に参加したワケ(2/2 ページ)

「生成AI(の普及)は声優にとってピンチではないのか」――大手声優事務所であるエイティワンプロデュースの南沢道義代表は、音声AI技術を活用し、声優や俳優の声の権利保護に加え、日本語以外の多言語化を目指す団体「声の保護と多言語化協会」の設立発表会に登壇。生成AIと声優業を巡る今後の展望を明かした。

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 これに対し、南沢代表は「ピンチもチャンスも、私たちの日々の中では背中合わせ」と回答。自身の声優業界での取り組みを振り返り「先輩たちから教えられた芝居や業界、さまざまでルールを日々大切にしながらここまでやってきた」と述べた。

 一方で「声優の立場や文化を守ってほしい、という一方通行では難しい時代」と南沢代表。「新しい文化やシステムとどう向き合うのか、大変難しい問題ではある」としつつ、「私たちも一歩踏み込んでみよう」との意気込みで、声の保護と多言語化協会に参加した。

 「業界の仲間や声優仲間とともにこの問題を議論し、新しい海外向けの声優ビジネスができれば本当にうれしく思う」(南沢代表)


南沢道義氏

 また発表会では、アニメ「アンパンマン」のメロンパンナ役などで知られる声優のかないみかさんが、ElevenLabsの技術を活用した声の多言語化を披露した。まず、かないさんが1人で2役を演じ、短い掛け合いを日本語で実演。その様子をスマートフォンのカメラで撮影した。その後、約20分間で、AI音声により英語や中国語、フランス語などに吹き替えられた動画を作成して公開した。

 米ElevenLabsの日本法人であるイレブンラボジャパン(東京都千代田区)の田村元氏によると、事前にかないさんの声を学習したAIを利用したわけではなく、その場で撮影した映像の音源データのみを参照して多言語化したという。実際の制作現場で多言語化をする際には、事前に声を学習させたAIモデルを利用し、音響や演出なども調整。よりクオリティーを高められるとアピールした。


実際の制作現場で多言語化する際の流れ

 かないさんは、実演されたAI音声に対し、つい先ほど録音した自分の声のため、どれほど似ているかは「客観視できない」とする一方「このままクオリティーがどんどん上がれば良い」と説明。声を声優や俳優に無断で利用しないことを前提に「私たちもAIと反対ではなく、うまく融合してやっていければ、みんなが逆に助かることにもつながる」と語った。

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