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AWS、推論・エージェント機能を強化する新AI「Amazon Nova 2」リリースre:Invent 2025

AWSはre:Invent 2025で、新AIモデル「Amazon Nova 2」ファミリーとカスタムモデル構築サービス「Nova Forge」、ワークフロー自動化エージェント「Nova Act」を発表した。Nova 2 Liteは既に利用可能で、拡張思考やWebグラウンディング機能を搭載する。Nova Forgeはオープントレーニングを提供し、Nova Actはブラウザ操作の自動化信頼性が90%に達した。

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 米Amazon傘下のAWSは12月3日(現地時間)、年次イベント「re:Invent 2025」で、新生成AIモデル「Amazon Nova 2」、企業がカスタムモデルを構築するための「Nova Forge」サービス、ブラウザベースのワークフローを自動化する「Nova Act」などを発表した。これらの発表は、同社のAIポートフォリオの包括的な拡張で、推論能力、マルチモーダル処理、エージェント機能における性能とコスト効率の向上を目指している。

Amazon Nova 2

 Amazon Nova 2は、速度、コスト、インテリジェンスのバランスの最適化を目指した新しい基盤モデルファミリーで、Amazon Bedrockを通じて提供される。4つのモデルで構成される。日常的なタスクに適しコスト効率に優れた「Nova 2 Lite」、高度な推論やコーディングが可能で最もインテリジェントな「Nova 2 Pro」、テキスト・画像・動画・音声を処理しテキストと画像の両方を生成できる「Nova 2 Omni」、リアルタイムの音声対話に特化した「Nova 2 Sonic」だ。

 Nova 2 Liteは既に利用可能だが、Nova 2 ProとNova 2 Omniはプレビュー版で、後述のNova Forge顧客向けに早期アクセスが提供されている。

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Nova 2ファミリー(画像:AWS)

 Nova 2 Liteは、テキスト、画像、動画、ドキュメントのマルチモーダル入力に対応し、100万トークンのコンテキストウィンドウを備えている。特徴的な機能として、回答生成前に段階的な推論を行う「拡張思考(extended thinking)」が搭載されており、ユーザーはその深度を調整することで処理速度とコストのバランスを制御できる。また、Web検索による情報補完(Webグラウンディング)やコードインタープリタといったツールを標準で内蔵しており、Nova Forgeを通じて企業独自のデータを学習させたカスタムモデル構築の基盤としても利用が推奨されている。

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Nova 2 Lite、Claude Haiku 4.5、GPT 5 Mini、Gemini 2.5 Flashの各種ベンチマーク比較(画像:AWS)

Nova Forge

 Nova Forgeは、企業が自社のデータを組み込んで「Novellas」と呼ばれる独自の最適化モデルを構築するための新しいサービス。特徴は「オープントレーニング」と呼ばれる手法にあり、企業は事前学習、中間学習、事後学習の各段階でNovaモデルのチェックポイントにアクセスし、独自のデータと混合してトレーニングを行うことができる。さらに、シミュレーション環境でモデルを学習させる強化学習ジムや、モデルのサイズを縮小・高速化する蒸留機能も提供される。作成されたカスタムモデルは、Amazon Bedrock上でセキュリティを確保しながら展開・利用することが可能だ。

Nova Act

 Nova Actは、Webブラウザを介したワークフローを自動化する信頼性の高いAIエージェントを構築・管理するためのAWSサービス。強化学習によってトレーニングされたカスタムNova 2 Liteモデルを利用しており、CRMシステムの更新やWebサイトのテストといったUI操作タスクで90%の信頼性を達成しているという。開発者は自然言語のプロンプトを使用したノーコードのプレイグラウンドでエージェントの試作を行い、VS Codeなどの慣れ親しんだ環境で調整した後、AWSコンソールを通じて大規模に展開・管理することができる。

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