インタビュー
» 2007年07月09日 13時28分 公開

本のテーマはマトリックスから――佐々木俊尚さんの“戦略”達人の仕事術(2/2 ページ)

[泉あい,ITmedia]
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ストーリーと取材の融合に最も苦労する

 ストーリーに基づいて取材し、そのストーリーと取材内容がきちんと整合性が取れるかどうか、それが問題だ。どうにも合わないケースもある。その時は取材した後でもう1回構成し直す。取材内容を変えるわけにはいかないので、「ストーリーの構成を何とかするしかないこともある」という。ストーリーと取材──この2つを融合できるかどうかが、最も苦労する。

 8月6日に出版される「フラット革命」という書籍も苦労した。2006年の11月に取材を終えたのに、書き始めたのは翌年の3月後半。取材から4カ月以上もかかった。どう考えてもそのストーリーに取材内容が合わない時、書くスピードはガクっと落ちるわけだ。行き詰った時、自分の頭の中で考えるには限界がある。まずは膨大な本を読む。4カ月の間に30冊ほどの本を読み尽くした。「これがその時に読んだ書籍の山です」と書斎に積み上げられた本たち。哲学書だの歴史書だのさまざま。夏目漱石の研究家であり保守派として有名な江藤淳、脳科学者の茂木健一郎、米国の官僚で資産家のロバート・バーナード・アンダーソンなどである。

「まずは膨大な本を読む」という佐々木さんの本棚
フラット革命では哲学書や歴史書まで手を出した

 それらを読んでようやく全体像が見えて、「これだ」と決まったら書き始める。「全体の構成を決めないで書くと、ぐにゃぐにゃになっちゃう。過去にそうやって失敗した本が何冊もあるので、あまり偉そうには言えないんだけど。どの本かは言えないけどね」と照れくさそうに笑った。

集中力とタイピングには自信

 短い原稿を書くのは早い。6000文字から1万文字の原稿なら2時間くらいで書き上げてしまう。書き始める前にストーリーの構成をしっかりしているので、書く段階で既に頭の中に原稿ができ上がっている。地下鉄の車中、駅のホーム、街のカフェなど、打ち合わせや取材の合間にいろいろな場所で書く。集中力には自信があるのだ。特に時間のない時は、移動中のタクシーであっても、30分で必死に書く。30分あると原稿の半分は書けてしまうくらいの集中力の持ち主なのである。

 タイピングが速いことも武器の1つ。取材や打ち合わせでは、人が話しているのをそのまま難なく入力できる。パソコン通信のチャットで鍛えた。昔とった杵柄である。ホームポジションさえきちんと押さえていれば、場所を選ばずどこでも打てる。両手の人差し指で「F」と「J」の突起をいつも触っている。

 配列がダイヤモンドの形に並んでいることからその名が付いた、ダイヤモンドカーソルと言われるキーバインドを使っていて、カーソルキーの代わりに「Ctrl」キーを押しながら「E」「X」「S」「D」を押して移動。小指で「Ctrl」を押してカーソルを動かす。キー配列も変更。「Ctrl」と「CapsLock」を入れ替えて、たいていのキーはホームポジションから動かさないで打てるようにセッティングしている。

佐々木さんの7つ道具

取材は正面玄関から――訴えられない秘訣

 「正面玄関からの取材しかしない」と決めている。現在は企業の関係者なら広報から取材を申し込む。あの立花隆氏のようにだ。新聞記者で特ダネを追っていた頃、夜討ち朝駆けの取材は体力も使う。しかし、正攻法の取材手法に決めたのは体力だけが問題ではない。

 「ネットの世界は途中過程も見えると思うから、変なことを書いたら取材した相手から訴えられかねない。訴えられないにしても、ネット上に悪口を書かれかねないから、それはやっぱり避けたい」。新聞記者の頃から、記事を掲載した後に文句を言われるケースはたくさんあった。でも今は、やってはいけないことがあるという。味方のフリをして話を聞き、後で悪口を書くことだ。

 例えば犯罪容疑者との一問一答。「あなたは悪いことをしている」とは問い詰めず、「いやいや、あなたの気持ちもわかるよ。君は捕まらないと思うから大丈夫だよ」と共感めいたセリフで容疑者にしゃべらせる。そして、後から「こんなひどいことを言っていた」と書き立てる。それをかつては、企業だけでなく一般個人に対してもやっていた。「深い反省を込めて、こういうことは止める」と決めた。


 変動し続けるインターネット時代の中で、佐々木さんは書き続ける。次に来るものは、佐々木さんのストーリーの主役としてマトリックスに浮かび上がるのだろうか。

プロフィール
お名前 佐々木俊尚(ささき・としなお)
経歴 毎日新聞社勤務を経て、1999年にアスキーに転職。2002年に独立し、フリーランスのライターとなる。
PC ショップブランドのデスクトップPC、それに東芝DynabookSS SX/190NK
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) 音声はソフトバンク705P、データ通信はau W01K、docomo M2501、イーモバイルD01NE
デジタルカメラ 持ち歩いていません。
ブラウザ Firefox
収集ツール(RSSリーダーなど) Google Reader
メールクライアント Gmail
インスタントメッセンジャー 使っていません。
よく使うショートカットキー -
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) Microsoft OneNote、WZ Editorグローバル検索
バックアップツール Backup Plutinumでレンタルサーバ、NAS、ローカルHDDの三カ所に。
検索サイト Google
Webメール Gmail
ブログ -
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ソーシャルブックマーキング はてなブックマーク、Newsing
Wiki livedoor wiki
影響を受けた人/本/Webサイト -
座右の銘 -
手帳/ノート DAIGO new appoint N-0.04(スケジュール帳、バックアップ用)
ペン 使っていません。
その他小物(ICレコーダ、ポストイットなど) Sanyo ICR-S310RM(ICレコーダ)

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