「楽しいからですよ」。大野さんは即答する。「エコってやらなくちゃいけないことは分かっている人も多いと思うんです。でもやらなくちゃ、となると圧迫感がありませんか?」。確かにそうかもしれない。やらなくてはいけないことを口うるさく言われるほど、やりたくなくなってしまうのが人間だ。さらにいえば、電気をこまめに消したりゴミの分別を細かくしたり――日常の小さな習慣の積み重ねでもあるエコには、細かい作業がつきもの。面倒くさくないといえばウソになる。
例えば筆者の場合は、深夜、仕事から帰ってクタクタに疲れているときなどは、夜食に食べたコンビニ商品のラベルをはがしたり、開封した封筒のセロテープをはがしたりする作業がおっくうになってサボってしまい、翌朝に分別しなおす日もある。
エコはいいこと。でも圧迫感があって面倒くさい。そのため関心はあっても実践には至らない人もいるかもしれない。ましてエコに興味がない人は実践する気などさらさら起こらないだろう。
「まずキャンドルナイトで豊かな時間を楽しんでください」。その先に「エコ生活、してみようかな」という気持ちがチラリと出てくればいいと、大野さんは言う。
「静寂を感じたのでお茶を立ててみました。ろうそくの明かりって案外よく見えますね」「懐かしい人を思い出しました」「ピアノを弾いてみました」「久しぶりに家族でゆっくり過ごしました」――など、キャンドルナイトの参加者からは「予想もしなかった多様な反響があった」
参加者は単純にイベントを楽しむ。その結果、気付けばエコなことをしていた――この構図こそが、エコイベント成功の鍵だったのだ。
キャンドルナイトには米国、韓国、インド洋にあるモーリシャスなど、世界各地で参加団体が増えてきている。豊かな時間を過ごしてエコに目覚めてもらうことで、企業価値を上げている守る会。今後も「地球の時差による暗闇のウェーブを目指す」という。詩人の谷川俊太郎流にいえば、「僕らはエコをリレーする」といったところか――。
2008年の第1弾は、夏至の6月21日から洞爺湖サミット初日の7月7日まで、毎夜20時から22時に開催する。
初日の6月21日(土)には、東京都港区芝公園で12時から21時まで「100万人のキャンドルナイト・東京八百夜灯2008」を開催する。安心な国産食材を使った屋台を出店予定。また、加藤登紀子さんやYaeさんのライブや、消灯カウントダウンなどを予定している。誰でも参加可能で入場無料。雨天決行。Biz.ID編集部も張り切って取材予定だ。
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