「会社を辞めたい」――。同僚がそう相談してきたら、無理に引き留めるよりも、「辞めるという決断に至ったプロセス」に目を向けて、労をねぎらい、じっくり話を聞くことも大事なのです。
1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。
自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。
米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)、『イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方』(ベストブック)がある。
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先日、ある企業に勤める中間管理職のAさんから相談を受けました。なんでも、その会社のトップはワンマン社長で、時々会社に来ては思いつきで無責任な発言をしたり、社員を叱咤したりして社内をかき乱すことが続いているそうです。
その社長に嫌気が指した社員の1人が会社を辞めると言い出した途端、続けて、7人もの社員が「自分も辞めたい」とAさんに言ってきたそうです。一度にそんなに多くの人が職場を去ってしまったら仕事が回らなくなってしまいます。職場のリーダーとして部下をまとめる立場のAさんは困ってしまったといいます。
もしもあなたが最も頼りにしている、大切にしている、仲のいい同僚が「会社を辞めたい」と言ってきたときのことを想像してみてください。突然「会社を辞めたい」と言ってきたら、きっとドギマギしてしまうでしょう。このようなとき、あなたならどのような対処をしますか?
今回は同僚が「会社を辞める」と言ってきたときの対応について話したいと思います。
同僚が仕事を辞めると言ってきたら、一般的に……
「今、君に辞められたら困ってしまうよ」
「大変なのは○○さんだけじゃない。みんな苦しい中で頑張って仕事をしているんだよ」
「何でこの大事な時期に辞めるなんて言うんですか。もう少し時期を遅らせることはできないの?」
「今から転職って言っても、なかなか難しいよ」
「せっかくこれまで一緒にやってきたのに、もう少し頑張ってみようよ」
「もう一度、考え直してみたら?」
のように引き留めると思います。ましてやAさんのように、一度に7人も辞めると言ってきたらなおさらそうでしょう。
私もこれまで何度か会社を辞めた経験がありますが、「会社を辞めたい。いや、辞めよう!」という決断は、人生をも左右するかなり大きな決断です。「会社を辞める」と同僚に伝えた時点で、気持ち的にはかなり固まっています。そこで、退職を引き留めても気持ちが変わることはほとんどありません。
同僚が「会社を辞めたい」と言ってきたときは、引き留めるよりも別の方法がいいのではないかと思っています。
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