「入ったらダメ」より「ご遠慮願えますか?」:一目置かせる「役割別ビジネス会話」
否定的な表現ばかりするビジネスパーソンは、そうでない人より評判が悪いもの。「立ち入り禁止だから、そこは入ったらダメ」より「恐れ入りますがご遠慮願えますか?」と依頼した方が、言われた相手も受け入れやすいのだ。
相手に一目置かれるための「役割別ビジネス会話」。立場別の適切な会話術もさることながら、敬語の誤用は社会人として避けたい。だが何より避けたいのは、TPOをわきまえないアプローチだ。
言葉のTPOをわきまえる
たとえあなたの会社がフレンドリーな職場で、お昼休みに「課長ったらヤダ〜」といった言葉遣いがまかり通っていたとしても、それを仕事に持ち込むのはやめよう。お客さまの前で「課長、これどうするの?」などと言われたら、課長はどのように思うだろう。あなたの無神経さに腹を立てるとともに、お客さまに対しても面目丸つぶれで恥ずかしい思いをするはず。
逆に、上司だからといって、いつもいつもバカ丁寧な敬語を使うのも考えもの。ちょっと世間話をするにも敬語の連発では、上司も息苦しくて疲れてしまう。Time(時)、Place(場所)、Occasion(状況)に応じて言葉を使い分けることだ。それが相手に対する礼儀であり思いやりであると同時に、あなたの人柄も高める。
報告での敬語は必要最低限に
職場は能率と正確さを求められる場所。あなたが最上級の敬語を駆使できるとしても、仕事の事後報告までだらだらと丁寧にしゃべっていては、やはりTPOを無視していることになる。仕事上の報告はセンテンスを短めに、要点を整理して、敬語はギリギリまでシェイプアップするのだ。次の2つの報告を比べてみよう。
- 「○○社のNさまから今朝ご連絡がございまして、先日お電話でご紹介なさった△△社のTさまを明後日お連れになられるそうです」
- 「今朝、○○社のNさまからご連絡がありました。△△社のTさまとご一緒に、金曜日にいらっしゃいます」
どちらが明確か一目瞭然だ。1.の報告では、過剰な敬語の洪水に肝心の用件を聞き流してしまいそう。仕事上の報告は敬語も必要最低限に抑えよう。
否定的な表現を避ける
言葉遣いはきちんとしているのに、なぜか評判のいい人と悪い人がいる。そんな時には、否定的な言い方をしていないかチェックしてみよう。評判の悪い人は、否定的な言い方が多いはずだ。「そこは立ち入り禁止です!」と人を制するよりも、「恐れ入りますが、そちらはご遠慮願えますか」と、依頼形にした方がやわらかい印象を与えるのだ。
仕事に慣れてくるとつい命令口調になりがち。命令口調の方が確かに結論が早く伝わるが、言い回しの工夫も必要だ。時にはどうしても人に何かを強制しなければならないこともあるだろう。そんな時は「命令形」から「依頼形」に変えてメッセージを発すると、意外にもスムーズに行動してもらえる。言葉は心の使い。心を添えた言葉遣いを心がけよう。
今日の“一目”ポイント
- くだけた表現は社内のみで。時と場合を使い分ける。
- 正しい敬語でも乱用はNG。報告時は必要最低限に抑える。
- 否定的な表現は避ける。
- 命令表現を依頼表現に変えると、相手が受け入れやすい。
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