「責任減った」「理解してくれた」――うつ患者の7割「職場に公言して良かった」
QLifeが行った「職場のうつ」に関する調査によると、うつ病で通院中の4割強が「職場の同僚に公言した」と回答。そのうち7割は「公言して良かった」と回答した。
QLifeは、全国の上場企業勤務者を対象に「職場のうつ」に関する調査を実施し、“職場への打ち明け”をテーマにリポートをまとめた。有効回答者数は300人(30代〜50代の男女150人ずつ)。
8割が「上司や人事には公言」、しかし同僚へ打ち明けたのは4割
「うつ病になったことを職場の上司や人事担当者に打ち明けたか」という質問には、現在通院中の患者の79%が「打ち明けた」と回答した。また、男女別/年代別に見ると、女性よりも男性、壮年層よりも若年層の方が打ち明けた人の割合が高かった。
上司や人事ではなく、同僚に対してはどうだろう。調査によれば、うつ病を職場の同僚に打ち明けたのは通院中の患者の44%。上司や人事への打ち明けと同様に、やはり男性の方が打ち明け率は高く、年代別でも若い世代の方が打ち明ける傾向があるようだ。
打ち明けたときの周囲の反応は?
「うつ病を職場内の同僚に打ち明けた」と答えた人に対し、周囲の反応を聞いたところ、最も多かった回答は「理解を示してくれた」「大きな反応なし」(いずれも29%)だった。ただし「驚かれた」(16%)、「理解されなかった」(13%)という回答も次いで多く、これらを合わせた29%は、少なくとも「同僚にとって予想外の告白」だったことが分かる。
では、打ち明けたという人はその結果をどう考えているのだろう。「職場の同僚に打ち明けて良かったか」という質問には、「良かった」と答えた人が71%を占め、「良くなかった」の11%と比べて大きな差がついた。打ち明けて良かった具体的な理由としては、「責任が減った」「休みやすくなった」「隠す苦労が減った」「周囲が理解してくれた」という内容のコメントが多かった。
一方、良くなかった具体的な理由には、「退社するように仕向けられた」「皆がはれものを触るように接するようになった」「偏見があった」といったコメントがあった。
調査を行ったQLifeは「職場の同僚に公言したのは4割強に過ぎないものの、その7割は『公言して良かった』と答えているのは注目すべき点」とコメント。「うつ病の理解と患者への接し方のガイドラインを職場に浸透させ、適切な“公言ステップ”を導入することで、患者と職場の双方のストレスを減らせるかもしれない」としている。
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