賢く「タスク分散」する:あなたの不安、見積もります
MOLESKINEにタスクがあって、Gmailにもタスクがあって、Toodledoにタスクがあって――こんな状態を不安に思う人もいることでしょう。しかし、複数ツール間でタスクを“転記”することは決して時間のムダではないのです。
仕事術に刺激を求めながら、生産効率も上げていきたいという理由から、「7つの習慣」「GTD」「ライフハック」「情報整理術」など、次々に新しい方法を試すこと自体は、悪いことではありません。しかし一方で、次のような悩みを持つ方もいらっしゃるようです。
ビジネスパーソンの気になる疑問
最近のライフハックやGTD特集に啓発されて、色々なツールやノートなどを試しているうちに、あちこちにタスクが分散されてしまって、不安になってきました。何かに統一したいのですが、例えばGmailで処理すべきものを、MOLESKINEに書き写したりはできません。どうしたらタスクを一元管理できますか?
この連載でも繰り返しお伝えしていることですが、何もかもを1つだけのツールに一元管理しようなどというのは、およそ現実的ではありません。「あらゆるタスクはメールで管理すべきだ」という主張をする人もいますが、外出先で、メールにどうしても接続できない場合だってあるのです。
それに、待ち合わせ時刻がはっきり決まっているような予定をタスクと考えたとき、予定のすべてをメールで管理はできません。やはりカレンダーのようなものが使いたくなってくるでしょう。
だからといって、MOLESKINEにタスクがあって、Gmailにもタスクがあって、Toodledoにタスクがあって、Evernoteにタスクがあって、付せんにもタスクがあるという状態では、確かに不安です。そのような不安を打ち消すためにも、メタ・タスク管理ツールとでもいうべきものを1つ、決めてしまいましょう。
私自身はその目的のためにToodledoを使っていますが、扱いが少々難しすぎるという人は、とりあえず日めくりカレンダーを用意し、そこに「今日チェックすべきすべてのタスク管理ツール」と「そのツールでどういう状態を達成すればいいのか」を記入していくべきです。
例えば「1月27(木)」のメモ欄に、
- Gmailのスター付きメールをゼロにする
- Evernoteの未了チェックボックス付きノートを全部見る
- 「超」整理法の黄色の封筒をすべてチェックする
- 机に貼ってある付せんの仕事は全部やる
などと書くことになります。このシステムに意味を持たせるには、毎日ほぼ同じ内容のことを、日めくりカレンダーに「転記」していく必要がありますが、その転記を繰り返せば、自分がどういうルーチンで回っていけば漏れがなくなるかを肌で知ることができます。
自分のペースを把握できるまでは、「転記」は決して時間のムダではありません。ルーチンを意識するという意味でも、重要なタスクのリマインドという意味でも、その効用を実感できるはずです。
今週の「これを減らしてみる」
アルコール量。晩酌のビールを1本減らしてみましょう。
筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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