構想がすべてのキーになる――「プレゼンの3P」:プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術
プレゼンテーションには「Plot(構想)」「Preparation(準備)」「Performance(実施)」――3つの段階があります。これを「プレゼンの3P」と呼んでいますが、この中で一番大事なのが「構想」なのです。
「プレゼンの3P」とは――。プレゼンテーションには3つの段階があります。これらの各プロセスの頭文字をとって、私は「プレゼンの3P」と呼んでいます。1つずつ、解説していきましょう。
- まずPlot(構想)で、ストーリーを作る:プレゼンテーションの最初のプロセスは「構想(Plot)」です。構想とは、目的に合わせてプレゼンテーションの内容を決め、考えをまとめるプロセスのこと。当たり前ですが、この段階が不十分だと、後からいくら見栄えをよくしたところで、意味のないものになってしまいます。プレゼンの根幹とも言える最重要プロセスですが、残念なことに、このプロセスに十分な時間と労力をかけている例をあまり見たことがありません。
- Preparation(準備)で、資料を作ってリハーサル:プレゼンは準備が重要であることは誰もが合意するでしょう。この活動には、資料作成やプレゼンに必要な機材や場所の確保、リハーサルなどを含みます。プレゼンの達人として知られるスティーブ・ジョブズでさえ、かなりの時間をリハーサルに割くことは有名。いずれにせよ、スムーズなプレゼン実行には欠くことのできないプロセスです。
- Performance(実施)で、聴衆を魅了する:パフォーマンスと言われるだけあって、このプロセスには話し手の語り口、身振り手振り、演出などが含まれます。魅力的なパフォーマーは、優れたプレゼンテーションを行なうことができます。メッセージの中身だけでなく、容姿や声のトーンなど、肉体的な魅力が大きく影響するプロセスです。
構想が最重要
さて、プレゼンに3段階あることを解説しました。ところで、プレゼンテーションを構成する要素の中で、もっとも重要であるにもかかわらず、多くの人がないがしろにしているものは何でしょうか?
それは「構想」です。つまり「メッセージの中身をどう作るか」が実はもっとも重要かつ手抜きされているステップなのです。
優れたプレゼンテーションは聞き手の心を動かし、自分の提案を採用してもらう力を持っています。そして、その秘密は、スライドのデザイン性やカリスマ的な語り口ではなく、そのメッセージが「分かりやすい」「具体的」「面白い」かに起因します。メッセージの力、その根源が「構想」にあたります。
私の場合は、構想を練る時間は周囲から隔絶した空間が必要なため、愛用している文庫本サイズの無地の手帳と消せるボールペン(フリクションボール)と小銭だけを持って、近くのカフェに移動するのです。ネットもつながらないし、電話もかかってこない世界でアイデアをまとめます。そしてオフィスに戻ってから、構想をスライドに落とし込んでいくのです。
この方法は一見無駄のようで、結果的には効率がよいことが多いのです。本来、アイデアを練るプロセスとスライドや文書を作るプロセスは別もの。しかし、環境が同じだと自分でも区別がつかなくなります。プロセスを明確に分けるために、環境も分ける、というのが私のオススメです。合言葉は「プレゼンテータよ、カフェに出でよ!」です。
筆者 Plot作りの重要性はいうまでもありません。本書は、これまでの資料作成やスピーチ重視のプレゼン指南書ではなく、プレゼンの原点である「構想」を練ることの重要性を知ってほしくて執筆しました。次回は、「図解思考がプレゼンを強くする」です。
集中連載『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』について
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
目次
- 第1章:残念なプレゼンは、なぜ眠たくなるのか?…面白いプレゼンの秘密とは?
- 第2章:考えがスッキリまとまる図解プロットの技術…自分の考えを整理する方法
- 第3章:「合体ロボ作戦」でシナリオに磨きをかける…プレゼンの流れを作り出す
- 第4章:魅力的なスライドラフを描いてみる…ハイクオリティなラフ描きの技術を公開
- 第5章:図解プロットに挑戦!…実際に、考えをまとめ、シナリオを作り、ラフを描く
- 第6章:魅力的なアイデアを作り出す10のテクニック…使えるアイデア発想法
著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
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