事業の採算性を計算する方法:そろそろ脳内ビジネスの話をしようか(2/2 ページ)
サービスの企画などを考えるとき、結構面白いものを思いつく社員でも、それが事業として採算を取れるかどうかの計算になるとまったく苦手だったりします。今回は具体的な仮想事例をもとに、損益分岐点の計算をしてみましょう。
変動比率を計算する
さて、次はカレーの変動比率を計算します。変動比率とは、変動費が売上に占める割合です。
- 変動比率=0.28(280円÷1000円=0.28)
ここまでくれば、総費用線の作図ができます。
はい、これで損益分岐点の計算は出来たも同然です。実際は、売上に応じて段階的にアップする固定費や増減する変動費があるので、ここまでが大変なのです。
次に、傾き1の線を加えます。この直線上は、売上と費用が均衡していることを表していますが、そんなことは考えなくてもいいです。
この接点の横軸座標を導き出せばよいのです。中学校の数学が苦手な人は「これでだいたい35万くらい」と目分量で判断してもあながち間違っていません。が、しかし、企画書に書くのであればきちんと計算しないと信憑性がないですね。
ということで、連立方程式を立てて解くことが必要です。
Y=X Y=0.28X+232000 X=0.28X+232000 0.72X=232000 X=322222 答え:322222円
つまり、1カ月に32万2223円以上売ることができれば、給料も出せて貯金ができる、というお話です。
うーん、1カ月322パック売れないといけないとなると、20日営業で想定すると1日あたりのノルマは約16パックになります。まあ、なかなか……。Twitterなどで出没地点をアナウンスしながら移動したりフォロワーは割引してあげるなど、売り方の工夫は必要になるでしょう。
実際の事例ではこれよりもっと複雑ですが、要は「総費用線を書いて傾き1の直線との交点を求める」というだけです。
アイディア大好きのみなさん。この基本を押さえて、そのサービスがどれくらい儲かるのか、いろいろ遊んでみてはいかがでしょうか?
※この記事は、誠ブログの「そろそろ脳内ビジネスの話をしようか:その事業の採算性を計算する」より転載、編集しています。
誠ブログでは、ブログを執筆してくださるブロガーを募集中です。詳細については、「誠ブログとは?」、「FAQ」をご覧下さい。
関連記事
- 経費を“増やす”方法――個人事業主向けの節税対策を考える
前回まではサラリーマンの人に向けて年末調整の書き方を紹介したが、今回は個人事業主として独立したばかりの人、あるいは近いうちに独立を考えている人に向けて節税方法を紹介したい。ポイントは経費を増やすことだ。 - オリンパス事件をブロック図で解説すると?
ここ最近世間を賑わせているオリンパスの不正会計事件。損失隠しをしたわけですが、その兆候はBS(貸借対照表)の中の怪しい動きにありました。今回はこの不正会計をレゴブロック的に考察してみたいと思います。 - 新規事業の採算性を「図解思考」で実感する
新規事業の計画というとなんだか重大な感じがしますが、実は採算性と最大リスクをチェックできればOKなのです。この2つを実感するのにExcelは向いていません。ぜひ手書きでグラフを書いてみませんか。 - 逆転のカギは「BIG」、死地から甦ったサッカーくじ
2001年に華々しく登場したものの、一時は売り上げ不振に陥ったスポーツ振興くじ。しかし、2006年に運営体制を変更し、さまざまな施策を進めたことで売り上げは急回復した。その好調の理由を日本スポーツ振興センターの真下智子氏と森田佳樹氏に尋ねた。 - “維持費”があなたの自由を妨げる
何も持たずに生まれてきた私たち。その時のように自由になることは一見たやすいことのようにも思えますが、生きていく過程で積み重なってきた維持費がそれを簡単にはできなくさせているようです。