スマホアプリで人脈データベースを――モバイルライターの名刺管理:kei_1のモバイル・クラウド・言いたい放題
最近になり、OCRだけでは達成できなかったほぼ100%の認識率を実現したサービスがか登場している。スマホアプリと連動し、名刺、FacebookやGmailのアドレス帳から得た重要な人脈データベースを形成している。
考えてみれば、私はこれまで随分いろいろな名刺管理を試してきた。
20〜30代、電子回路設計のエンジニアだったころは会社のデスクで仕事をすることがほとんどで、名刺フォルダや名刺用バインダーの中身は取引先の業者(特に部品メーカーやCADベンダーとその販売代理店)の営業マンの名刺が多かった。特に名刺用バインダーは大型のものを使い、ページをパラパラめくって必要な人を探し出すアナログな方法だった。会社ごとにアルファベット順で名刺を整理さえしておけば用が足りるシンプルなものだったが、使い勝手は悪くなかったと思う。
40代以降は、副業で始めた雑誌や書籍の執筆活動で出会ったPC/PDA好きの仲間の名刺が急激に増えた。しかも、こうした出会いがきっかけで私自身の仕事もエンジニアから商品企画に変わり、仕事上の名刺もビジネス寄りにどんどん変わっていった。
これまでで一番忙しかったデジタルカメラの企画マンだった時期(90年代後半)は、受け取った名刺の情報をPCを使ってOutlookの住所録にすべて手入力し、PDA(Palm、Windows CEなど)と同期し、情報の整合性を常に保っていた。本業が忙しいにもかかわらず、かなりこだわってやっていたように思う。
OCR技術が登場したころ
当時の最先端技術にOCR(自動文字認識)があった。スキャナやデジタルカメラで読み込んだ画像から自動で文字情報を取り出し、データ化できる。画期的な技術ではあったが、「認識率を100%にする」つまり「読み取りミスをゼロ」にすることは予想以上に難しいことのようで、10年以上経過した今でもそれは達成できていない。それ故、OCRソフトで読み込んだデータは、全部もう一度チェックして修正をする面倒な手作業が必要だ。
“人力OCR”で名刺のデータベース化
しかし最近になり、OCRだけでは達成できなかったほぼ100%の認識率を、別の手段(人の力で誤認識を修正するという手段)と組み合わせることで実現したサービスがいくつか登場している。過去にブログで紹介したオーリッドの「KYBER」や、Sansanの「Eight」である。
KYBERやEightを使うことで、名刺情報を簡単にデータベース化できるようになったのだ。特にEightは、個人向けに提供している専用のスマートフォンアプリが使いやすく、お薦めできる。
Eightの特徴はこれだけではない。FacebookやGoogleとの連携機能も優れている。例えばFacebookの友達がEightの会員の中に見つかると、自動的にそれを教えてくれ、自分の名刺データベースにその友人の名刺データを追加できる(※自分や相手がFacebook連係を許可している場合に限る)。
その友人に逆にこちらから通知をして、ネットワーク経由の「名刺交換」ができるのも便利だ。ネットワーク経由なので、お互いに名刺を新しいものにしたときにそれが通知され、お互いのデータベースが更新できるのも大変便利だ。SNS時代の名刺管理ツールとしてなかなかの良いアイデアである。しかも、Eightは今のところ無料で利用できるのがありがたい。
ちょっと残念なのが、大量の名刺に対する対応である。Eightに大量の名刺を一気に読み込みたいという場合、スキャナを使いたいが、Eightの対応するスキャナは、現時点でPFUのスキャナScanSnapシリーズのみで、私が持っているブラザー製品では利用できない。仕方なくiPhoneで手持ちの名刺をちまちま読み込むしかない。
スキャナの機種を特定せず読み込める仕様にしてほしいものだ。例えば、PDFやJPEGならば読み込めるような仕様にしてほしい。とにかく、今後の機能拡充に期待したいと思う。
FacebookやGmail、そして名刺も
そういえば、名刺データベースだけが人脈データベースではない。今日、FacebookやGmailのアドレス帳が私にとってますます重要な人脈データベースになってきている。
それでも紙の名刺は重要だ。実際に会って名刺を手渡しするのは、いくらITの世界、SNSの世界が進歩しても貴重な瞬間であることに変わりはないように思う。それだけに、より印象に残る名刺や後から仕事の受注につながる名刺など、さまざまなひとが工夫をしている。私も名刺をもっと使いこなしたいものだ。
※この記事は、誠ブログの「kei_1のモバイル・クラウド・言いたい放題:私の名刺管理術より転載、編集しています。
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