相手の信頼を得る「ラポールの形成」とは?:世界で通用する人がいつもやっていること(2/2 ページ)
あなたは聞き上手なほうですか? 人は誰でも、自分の話をちゃんと聞いてくれると嬉しくなるものです。世界で通用する人というのは、聞き上手に徹して信頼を得たところで、気付かれないように相手を自分の思い通りに動かしているのです。
すべては尊敬の念を抱くところから始まる
とはいっても、ただずっと聞いているだけではいけません。ラポールの形成では、相手に好意と尊敬の念を持つことも大事です。
Yさんはいつも、相手に対して尊敬の気持ちを持つように心がけていたのです。すると相手にもそれが伝わり、自然とYさんに対して敬意を持つようになるのです。これがラポール形成の近道であり、王道ともいえるでしょう。
ラポールの形成では共通点を探すのも重要なこと。あまりよく知らない人とでも、共通点があると分かったとたんに打ち解けた話ができるようになるという経験は誰しも持っているものだと思います。これは簡単ですぐに使える方法です。
例えばジャズが好きな男性がいたとします。自分もジャズが好きであれば、彼が好きなミュージシャンや曲名などをあらかじめ調べておきます。対話の上ではまず、音楽の話に持っていきます。「何の曲が好きですか?」という質問は、どちらからともなく出るでしょう。
そのときに「ちょっと待って。ここでゲームをしましょう」などと振り、それぞれ白紙に自分の好きな曲の名前を書いて伏せておくのです。そして、同時にその紙を表に返す。もし、ここで同じ曲名が書いてあったら一気に心理的な距離が縮まります。子供だましみたいな手ですが、その有用性は学術的にも明らかにされています。
相手の趣味を事前に調べたことは、もちろん黙っておきましょう。
リアクションの一工夫だけで信頼感が深まってしまう
また、リアクションもラポールの形成では欠かせません。一緒に笑ってあげたり怒ってあげたりと、同じしぐさを気づかれないようにやってみたりするのです。すると相手は親近感を強くしていきます。ちなみに、相手の行動をマネするという行動は、心理学ではミラーリングと呼ばれています。
ラポールの形成のためにYさんはこのような工夫をしています。まずは、相手をすっかりいい気分にさせて、自分の言うことを聞いてくれやすいようにしておきます。その裏で、自分が誘導したい目的地に話を持っていく交通整理をちゃっかり進めているわけです。実にしたたかなおじいさまですね!
(次回は、「仕事を楽しむ」について)
関連記事
- 日本地図、世界地図をかっこよく描いて、グローバル時代を生き抜く!
日本、そして世界。グローバル化するビジネスにおいて、世界レベルのロケーションで物を視る機会も増えていることでしょう。今回は、世界の形をしっかりと観察し、自分なりに描けるようにします。交通の要所をおさえれば、何も見なくても描けますよ。 - 年末年始に身につけたい、トップ1%の人が実践する思考ルール
成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るためには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身につけることが重要です。 - 説明とは相手に向かって話すことではない――話し下手な人のための説明力向上法
日常業務の中で必須となる「説明の場」。でも説明が不得意な人っていますよね? 今回は相手の理解、納得度を高めるテクニックを紹介します。 - 40代でできること、できないこと
10代や20代のころには「自分は何でもできる!」という幻想を抱いていたとしても、40代ともなるとそれがだんだん崩れてきます。完全に失望しているわけではありませんが、できることやできないこと、得意不得意など自分のことが自然と分かってきます。40代は、理想と現実の狭間にいる微妙な年代といえます。 - 想像することが苦手な人に、年間ビジョンの作り方
新年を迎えて「今年はこんなことにチャレンジしたい」という人も多いのでは。しかし実際には、なかなかうまくいかない。なぜうまくいかないのか。今回は「1年の計画の立て方」について紹介しよう。 - グローバル化と国際化ってどう違うの?
近年よく使われるようになったグローバル化(=globalization)という言葉。かつては国際化(=internationalization)という言葉の方がよく耳にしましたが、それが入れ替わった背景を考えると、今のビジネスの流れも見えてくるのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.