クラウド会計「マネーフォワード 確定申告」を検証――セキュリティ面はどうなの?(3/3 ページ)
クレジットカードや銀行口座の明細を自動的に取り込む機能は、クラウド会計ソフトのセールスポイントの1つ。だが、セキュリティの視点から見るとどうだろうか?
一番の悩みは「クラウドを信用できるか」?
2014年2月7日に、マネーフォワード社自身が面白い調査報告を発表していた(参照記事)。それは「あなたはクラウド会計ソフトを使いたいですか?」というもので、中高年は「セキュリティの問題が心配」(60代女性)、「個人情報の流出が怖い」(50代女性)という回答が寄せられたとのことだ。
マネーフォワード 確定申告に限った話ではないが、「クラウドは不安」という声はよく聞く。その不安を細かく分類すると、「データが消えたら不安」「勝手に情報を使われたら不安」「サービスがなくなったら不安」などになるだろう。
まず、「データが消えたら不安」という点。マネーフォワード 確定申告では、月額800円の「プレミアムプラン」を用意している。このプランでは、データを遠隔地に3重にバックアップするという機能を提供する。また、サービス継続性保証(SLA)が付けられており、稼働時間99.5%を保証している。
実はデータが消えることについては、クラウドであってもローカルPCのHDDであってもリスクは変わらない。むしろ、ローカルPCのバックアップをまったく行わない人が多い現状を考えると、「クラウドのほうが安全」という判断もできるだろう。
プレミアムプランであれば、「データエクスポート機能」も提供している。汎用的なCSV形式だけでなく、弥生会計で取り込める「弥生インポート形式」での出力が可能なので、データ保持への不安や、万が一サービスがなくなったらという不安を感じる利用者にはありがたい機能だと思う。
「クラウドはデータを勝手に使われるかもしれないので不安」という点については、各サービスが公表しているプライバシーポリシーを信じるしかない。不安だと思ったら、サービス事業者に問い合わせを行うことが一番だろう。この点において、マネーフォワード社が「日本の会社であること」が安心につながってくるのではないかと個人的には思う。
さらに、マネーフォワード 確定申告を使っていて感心したのは、「会計処理を忘れないようにフォローする」というサービスが行き届いている点だ。フリーランスで1年間活動していて思うのは、会計処理をいつの間にかため込んでしまい、気が付くとレシートの山ができていることだ。マネーフォワードは毎週、未処理の仕訳がどの程度あるのか、これまでの取引明細、売上/費用合計などのリポートを「ウィークリーメール」として送付してくれる。
さらには、「税理士による確定申告代行サービス」のモニター募集なども行っており、今後のサービスメニュー化も期待できる。プレミアムプランでは税理士のアカウントを作り、事業所のデータを共用する「ユーザー招待」機能もある。これは事業所のデータがクラウドにあることのメリットだろう。
クラウドというと「何となく怖い」というイメージがあるのは仕方ないとはいえ、クラウドだからこそのメリットもあると考えると、判断がしやすいのではないかと考えている。
フリーになるなら「クラウド会計ソフト」は選択肢の1つ
クラウド会計ソフトの紹介記事を見ると「簿記の知識がなくても青色申告ができる!」というようなアオリ文句が躍っている。確かに複式簿記の知識がなくても、それっぽく会計処理は可能だ。
個人的には、簿記の知識はフリーランスには必須だと思っているので、マネーフォワード 確定申告の利用を通じて、簿記を知ることも重要だと思っている。おそらく簿記3級程度の知識があれば十分で、教本を1冊買って1週間程度勉強すればいいだろう。
マネーフォワード 確定申告の画面設計は、入り口はある程度広く作っていて、初めて青色申告する人にとっても問題なく使える。今回は紹介しきれなかったが、固定資産の処理も可能で、フリーランスのライターのように仕入れを必要としない業務で必要な機能は一通りそろっていると思う。
これから独立し、個人事業主になることを考えている人は、今からでもマネーフォワードをはじめとするクラウド会計ソフトをちょっと使ってみるといいのではないだろうか。「仕事をする=お金を取り扱う」という意味を体感できる上に、会計的にはスムーズに事業を立ち上げられる。いい時代になったと思えるサービスだ。
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