骨太なモチベーションとスイッチング技術が「やめる」を継続する鍵:「やめる」習慣(2/2 ページ)
強いモチベーションを持ち、苦痛を軽減するためのスイッチング技術を身につけることで、「やめる習慣」を実践し続けられます。
ステップ1 心理的メリットを明確にする
悪い習慣は「リラックスしたい、人とつながりたい、刺激が欲しい、嫌なことを忘れたい、プレッシャーから解放されたい」といった欲求を満たしています。
ただし、ある習慣がどの欲求を満たすかは人によって異なります。タバコでリラックスを得ている人もいれば、非行少年のように親や先生からの関心を引くという欲求を満たしている場合もあります。
まずは、自分がやめたい習慣をリストアップして、その習慣で得ている心理的メリットを書き出してみてください。
その際、次の3つの質問を投げかけながら考えると、浮かびやすくなります。
質問1 どんなときにその習慣をやってしまいますか?
質問2 その習慣行動の直後、どんな気持ちになりますか?
質問3 心理的メリットまたはその習慣で満たせる欲求は何ですか?
ステップ2 スイッチング行動を考える
心理的メリットが明確になったら次にスイッチング行動を考えてみましょう。
空腹時に我慢できなくなったら、コーヒーを飲むのか、アメを食べるのか、腹筋をするのか、色々試してみると効果的なものが見つかるはずです。
ステップ3で、私の過去のセミナーで参加者の方々が考えた、「やめたい習慣/心理的メリット/スイッチング行動」の例を挙げておきます。最初は1つの習慣につき3つほどスイッチング行動を考えることをお勧めします。
ステップ3 スイッチング行動を試す
スイッチング行動が自分に合ったものかどうかは、「感情」で判断してください。いくら理屈で納得しても、欲求が満たされていなければ意味がありません。また、1つではなく、いくつか組み合わせてみるのもお勧めです。上手にスイッチングができれば、欲望との戦いで感じる苦痛は大幅に減るでしょう。多少お金がかかるものもあるかもしれませんが、やめたときのメリットを考えれば投資とも考えられます。
ちなみにスイッチング行動は習慣にする必要はありません。ここは苦痛回避できることであればどんどん試して、うまくいくものがあったら自然とやり続けることでしょう。
| やめたい習慣 | 心理的メリット | スイッチング行動 |
|---|---|---|
| タバコ | リラックスできる 人とつながっていられる |
食べる 飲み会の幹事をする |
| 食べ過ぎ | リラックスできる 嫌なことを忘れられる |
趣味を作る 風呂にゆっくりつかる 海外ドラマに熱中する |
| 飲み過ぎ | 本当の自分に戻れる 嫌なことを忘れられる |
本当の自分を見せられる人と会う 別の熱中できることを探す |
| ネットサーフィン | 新しい刺激が得られる 人とつながっていられる |
毎日新しいことをする 友達と一緒に飲む |
| 先延ばし | 面倒くさい 苦痛から解放される |
小さく作業を分解する ベビーステップで始める |
「習慣行動」のレベルを決める
「やめる習慣」を実践するにあたって、最終的にどのラインまでやめるのか、「習慣行動」のレベルを決めましょう。
やめる習慣の行動は大きく2つに分けられます。
- 完全にやめる
タバコやギャンブル、ゲームなど依存性の高いものは、減らすよりも徹底してやめるほうが効果的です。少しでも手をつけると、その小さな行動で強烈な快感を覚えてしまい、逆効果だからです。
依存性のあるこれらの習慣は、完全にやめるほうが成功確率が高まります。その際に重要なのがスイッチング行動です。 - 量や時間を減らす
ネットサーフィンの時間、食べる量やお酒の量、ダラダラとした時間、ムダ遣いなどは、量や時間を減らして望ましい状態に持っていく習慣です。お酒は完全にやめるという手もありますが、節酒もオプションです。
これらを踏まえて「やめる習慣行動」を具体化しましょう。
習慣行動は、禁欲期を終えたあと、変えても構いません。やってみて判断して結構です。ただ、ここではあくまで理想の到達地点を決めます。
具体化するときは、「いつ、何を、どれぐらい、どうする」かはっきりさせましょう。食べ過ぎなら、毎日、朝、昼、晩の食事を1800キロカロリー以内に抑える。タバコなら、毎日、タバコを、完全に吸わない。ネット・スマホなら、毎日利用する時間を30分以内にする。イライラなら、毎日夜、イライラしたことを、30分ノートに書いて解消する。
このような具体的な習慣行動を決めてから、実践していきましょう。
次回からは、禁欲期、無気力期、安定期、倦怠期という段階ごとに合わせた対策を見ていきます。
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