請求書の支払いまでオンラインで簡単に! 請求書作成サービス「Misoca」が次に目指すもの
請求書の作成から郵送代行まで行うクラウドサービス「Misoca」上で1カ月に請求される金額は10億円を超えた。4月に月額利用料金を無料化した同サービスが次に狙うものとは?
本業に専念! クラウドで時短特集
日々の業務がクラウドサービスに置き換えられています。しかし、「なぜをそれを使うのか」「導入すると何が変わるのか」があやふやでは、導入しても「使うのは面倒」となりかねません。
コスト削減、業務効率化の文脈で語られることが多いクラウドサービスですが、本当のゴールは「雑務から解放されることで、本業に専念できること」なのです。
4月24日、東京・赤坂で開催されたイベント「クラウドプラス」。バックオフィスの効率性と生産性向上のためのクラウドサービスなど約20社が集まった。本記事では、請求書の作成、発送ができる「Misoca(みそか)」を運営するスタンドファームの豊吉隆一郎(とよし・りゅういちろう)氏の講演をリポートする。
請求書の作成や発送業務を「楽」にしたい
Misocaは、オンラインで請求書や見積書などの作成、発送・配信、管理ができるクラウドサービスだ。2011年11月にスタートし、現在の利用事業者は1万社超。毎月1000アカウント以上のペースで利用者が増えているという。1カ月間に作成される請求書の総額は10億円を超えた。
PDFで作成した請求書のダウンロードやメール配送にかかる料金は無料(2014年4月1日のプラン改定で、3つあった全プランの月額利用料金が無料になった)。請求書を郵送する場合には1通180円、見積書をFAX送信する場合には1通60円が発生する。
また、請求先クライアント専用のWeb管理画面を用意する「Web請求書サービス」をオプションサービスとして提供。こちらは月額9800円〜で、例えば決算時期に1年間の請求書を確認するといった使い方ができる。
自身も7年間、フリーランスとしてWeb制作を請け負っていた経歴を持つ豊吉氏。「請求書の発送作業は非効率的だ。日本中で同じことをやっているのかと思うと、この課題を何とか解決したい」という想いからMisocaを開発したという。
ゆえに、利用者のメリットは「作業が楽になる」こと。コスト削減、時間の短縮、紙の使用量削減も期待できる。同社の試算によれば、1カ月に500通の請求書を郵送する場合、Misocaによる削減効果は年間65万円、同3000通ならば年間200万円近くになるそうだ。
とある中小企業の場合、1カ月当たり700通の請求書を経理担当者2人で半日を費やして送っていたが、Misocaを使うことで数時間で終わるようになった。また、別のWebサービス運営会社では、200通の請求書を郵送する作業時間が30分以内で終わるようになった。
「もともとフリーランスやスタートアップを対象にスタートしたサービスなので、利用者の多くは個人事業主が多い。月末の作業が楽になった、コンビニエンスストアや郵便局に行く必要がなくなった、切手の買い置きが不要になったなど、小さな課題解決だが貢献できたと思っている。今では従業員数100人以上の会社や、大企業の部門導入などの実績もある」(豊吉氏)
心がけたのは使いやすさとセキュリティの両立
Misocaでは、請求書以外にも見積書や納品書なども作成できる。見積書のデータをそのままコピーできるので、受注が決まったら数クリックで請求書や納品書が完成する。
また、作業の場所や時間を問わないことも特徴の1つだ。一般的なWebブラウザがあればよく、専用ソフトのインストールは不要。実際に、海外出張先から請求書を作成・郵送した人や、商談中に見積書や請求書を作成・送付する人もいるそうだ。
Misocaでは、請求書を1通ずつ作る機能のほかに、CSVデータをアップロードして大量の請求書を一括作成する機能も用意する。例えば、毎月同じ金額を請求する顧問料や月謝、管理費、システム利用料などはMisocaが得意とするジャンルだ。
さらに、管理画面では請求書1通ずつで入金消し込み作業や、発送済みかどうかのチェックもできる。「あくまでも目安程度だが、前年度比較くらいならできる」(豊吉氏)という売り上げリポート機能もそなえる。
Misoca上で作成した請求書をメールで配送する場合、受取側にはアクセス用URLとパスワードが記載されたメールが届く。つまり、作成したPDFをメールに添付して送るには、作成者自身がダウンロードしてメールに添付するというステップを踏む必要がある。
「利用者から『直接メールに添付して送る機能があれば、もっと便利なのに』という意見は寄せられる。しかし、メールは基本的に暗号化されていないので、改ざん防止ができない。それゆえ、受取側が暗号化された通信を使ってMisocaにアクセスして、請求書をダウンロードする方法をとっている」(豊吉氏)
郵送業務は、印刷、封入、封かんがすべて機械化されたドキュメントセンターに委託する。例えばアルバイトスタッフに中身を見られたり、封入ミスがあったりということはない。実際、郵送でのミスは一度も発生していないそうだ。
豊吉氏は、「『電子化しましょう』となると、すべての請求業務を電子化しようとする企業も多いが、実際には難しい。一部は電子化して、電子化できないところは郵送するといった使い方ができるのもMisocaの特徴の1つ」とコメントする。
次に「楽にしたい」のは支払い作業
請求書を簡単に送るという、当初の課題は解決しつつあるMisoca。現在、同社はその先にあるステップとして請求書の決済業務の簡略化に取り組んでいる。4月に月額利用料金を無料化した背景も、もっと利用者を増やして各種手数料で稼ぐビジネスモデルへの変化を視野に入れているからだ。
豊吉氏は、Misoca上で受け取る請求書に「クレジットカードで支払う」というボタンを設け、それをクリックすることで支払いが完了するイメージを考えている。さらに、カード番号を記憶する機能などを提供することで、定期的な請求に対しては支払い側が承認するだけでスムーズに決済できるようにもしたいという。
4月30日には、ディー・エヌ・エーの子会社であるペイジェントとの業務提携を発表し、BtoBクレジットカード決済サービスを2014年夏から提供すると発表。VISA、MasterCard、JCB、American Express、Diners Clubの国際5ブランドに対応し、365日24時間支払い可能な体制を提供する予定だ。
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