文章が上手な人は、「書く」より「聞く」を重視:技術屋のためのドキュメント相談所
改善しようと思っても、自分だけでは何をどうすればよいのか分からない、という分野があります。文章を書くという分野もその1つです。分かってはいても、そのスキル向上のために取っている方法の実態とは……。
先日「『明解ライティングのための6つの習慣』ワークショップ」を開催しました。その参加者から回収したアンケートを見ていて少々思うことがありました。
アンケート中に「文書を書くスキルの向上のために意識していることがあればチェックしてください」という質問を入れておきました。その回答結果は下記の通り(回答者数4人)。
- 一文を短く書く → 3人
- 専門用語を使いすぎない → 1人
- 数行ごとに分けて見出しをつける → 2人
- できるだけ箇条書きを使う → 4人
- 書くのが上手な人に添削してもらう → 0人
- 上手に書かれたものを読んで構成を学ぶ → 0人
- 業務外でも意識的に文書を書く機会を増やしている → 0人
- その他 → 0人
「自分でできる努力」はしているけれど……
前半4つの項目は実践している人がいる一方で、後半4つを実践している人がいないことに気付きました。特に「書くのが上手な人に添削してもらう」「上手に書かれたものを読んで構成を学ぶ」ということを実践している人がいないことは気になります。
つまり、身近な場所(職場の同僚や上司)には相談できる相手がいない、ということですね。
「一文を短く書く」や「できるだけ箇条書きを使う」という努力は、意識すれば自力でできます。しかし、1人ではできないこともあるのです。
例えば「アサーションとエビデンスを読み取れますか?(参考記事)」で書いたような、分かりやすい文章を書く方法を身につけること。これは人に教えてもらえばすぐに分かるのですが、何もないところから自力で気づくのは難しいものなのです。
人は自分が「困った」ときに、「手がかり」を見つけて「集中」して考えることで、自ら「発見」をし、新しい技を獲得して成長できます。
問題は、ほかのことであればその「手がかり」を職場の先輩から教えてもらえるのに、「書く」ことについては教えてもらえない職場があるということ。自分の職場に「書く」ことについて相談できる人がいない場合は、職場の外で探してみましょう。“メンター”なしに文章スキルが向上することはないのです。
※この記事は、誠ブログの「自力で学ぶ」だけでは進まないときがあるより転載、編集しています。
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