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データ分析と活用のイメージ:CRMの基本(2/2 ページ)
顧客データを分析し活用することで、顧客の育成と維持を図るだけでなく、本当に大切な顧客にアプローチすることが可能になります。
(2)顧客の維持
データベース化された顧客のうち、分析によってコストをかけるべき育成対象顧客を見つけ出し、効率、効果的な施策の実行を管理していきます。ここでは、RFM分析(※)などを活用します。
※RFM分析=顧客の購買行動・購買履歴から、優良顧客のセグメンテーションなどを行う顧客分析手法の1つ。データベースマーケティングにおいては、顧客データ分析の最も基本的なものであり、アナリティカルCRMシステムなどに機能として実装されていることも多い。
あるアパレル企業の場合、全顧客の2年間の購入金額を比較した結果、上位10%の顧客と下位10%の顧客では、実に70倍以上の開きがありました。
下位10%の顧客10人が離れたとしても、上位10%の顧客(優良顧客)1人を維持したほうが、売上は断然高いという結果になったのです。
(3)顧客の育成と優良顧客の維持
各種の分析によって購入動機や購買傾向を踏まえ、顧客の識別を実現し、各顧客層に合わせたきめ細かな育成・維持の施策を展開します。
顧客の購入動機はさまざまです。顧客の属性と購買履歴から購入動機を推定できる顧客層に分類し、顧客層ごとに育成・維持施策を実施することが重要になります。
(4)施策の実行・管理と効果測定
マスマーケティング戦略の効果測定は、効果の解釈を含め難易度が高いものです。
しかし、CRM戦略における効果測定は解釈が容易です。それぞれの施策を顧客単位で分析することができるので、きめ細かな管理によりPDCAサイクルがつくりやすいのです。
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