Adobe Reader LEはPC用とどこが違う?インタビュー(1/2 ページ)

» 2005年03月10日 20時20分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 アドビシステムズ(以下アドビ)とNTTドコモは、FOMA向けにPDFファイル閲覧ソフト「Adobe Reader LE」を発表した。Adobe Readerの携帯電話への採用は、欧州でのNokia 6670に続き2例目、日本では初となる。Adobe Reader LEでは、既存のPDFファイルをFOMA端末で閲覧できるほか、iモード向けに拡張された機能も実装している(3月9日の記事参照)。Adobe Reader LEの特徴や、開発の意図などについて聞いた。

米サンノゼにあるアドビシステムズ本社で、ビジネス開発担当シニアプロダクトマネージャを務める、リドワン・ハク氏。英語、ウルドゥー語、ヒンディー語、ベンガル語、日本語の5つの言語を操る

PDFプラットフォームを、PC以外へも拡げる

 PDFは、アドビが推進するデジタルドキュメントプラットフォームだ。ビューワソフトの“Adobe Reader(旧称:Adobe Acrobat Reader)”が無料で配布されており、またほとんどのPCにプリインストールされている。PCユーザーならおなじみのソフトだろう。PDFファイルのオーサリングツールはアドビ以外からもリリースされており、中には無料で提供されているものもある。

 アドビでは、他メーカーとの協業も進めている。例えば、今回発表されたAdobe Reader LEは、FOMAなどに組み込みWebブラウザを供給しているACCESSとの共同開発によるものだ。

 PCの世界ではすでにスタンダードといえるPDFだが、閲覧可能な“場”をPC以外のデバイスにも広げることを、アドビは目指しており、今回のAdobe Reader LEもその一環といえる。アドビ自身も、PalmOS向けやPocketPC向けにコンパクトなAdobe Readerを開発、提供している。

iモード向けに新たに実装された機能

 もともとPDFはPCで閲覧することを念頭に置いて作られたファイルだ。FOMA端末で閲覧できるといっても、ファイルサイズなどに制限はないのだろうか。

 「Adobe Reader LEで、すべてのPDFファイルを見られると思っていただいて大丈夫です。例えば巨大な画像を縮小して貼り込んだようなドキュメントで、端末の処理能力を超えてしまうようなパターンは考えられるものの、一般に、テキスト中心のドキュメントであればまず問題なく見られます」(リドワン・ハク氏)

 ファイルサイズが大きかったり、何十ページにも及ぶようなPDFファイルでも、携帯で見られるのだろうか。「ファイルサイズはあまり問題ではありません。何十ページにも及ぶようなファイルの場合、読みたいページだけを選んで閲覧する、という機能を備えています。ただしこれにはオーサリングツール側の対応が必要になり、Webに最適化してあることが必要になります」(ハク氏)。“Webに最適化”する機能は、Acrobat 5.0以降で実装しているほか、Photoshop、InDesignといった同社のほかのソフトウェアでも、CSと付く最新バージョンなら対応している。

 携帯電話向けとなると、PCのようなリッチな処理能力は期待できない。携帯電話用にソフトを作り込むために、難しかった点はないのだろうか。「PDFは豊富な機能を備えたプラットフォームであるだけに、『どの機能を残すか』の取捨選択が大切なテーマでした。携帯電話でPDFファイルを閲覧するときのワークフローを考え、実際に使うユーザーの立場に立って、使いやすいものを考えることを最優先しました。その結果、必要な機能を盛り込みつつ、シンプルですっきりしたものに仕上がったと考えています」(ハク氏)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.