登場して1年、モバイルセントレックスの現在は? (2/2 ページ)

» 2005年09月08日 05時53分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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IPコミュニケーションからIPテレフォニーへ

沖電気工業IPシステム・カンパニー企業ネットワーク・ビジネスユニット原口哲朗氏

 沖電気工業IPシステム・カンパニー企業ネットワーク・ビジネスユニット原口哲朗氏はまず、90年代から始まったIP電話導入の目的が、時代と共に変わってきていると説明。これまでのIP電話導入の目的は、コスト削減だったが、IPコミュニケーション導入の目的は、コスト削減だけでなく、業務プロセス改善へと意識が変わってきている、と述べた。

年代 名称 特徴
80年代〜90年代前半 従来型 電話は電話網、データはデータ網で別々になっている
90年代後半〜2003年頃 IPテレフォニー VoIPゲートウェイを導入して音声をIP化することにより、音声とデータのインフラを統合。コスト削減を狙う
2004年頃〜 IPコミュニケーション インフラ、端末、アプリの融合が進む。電話とデータを同じインフラで扱い、電話もITの1つとして活用

 「IPセントレックス」とは、企業の内線、外線通話を取り仕切るPBX機能をアウトソーシングすることを指す。IPセントレックスには、複数置いていたPBXシステムを1つにすることでコストを削減する、という意味が強かった。しかし最近、IPセントレックス環境を構築する要素の中でも、特に高い関心・期待を持たれているのがモバイルセントレックスだ。

プレゼンスを「使える情報」にする試み

 沖電気では、モバイルセントレックスソリューションとして、NTTドコモのN900iLと、SIP対応のIP-PBXサーバ「IP CONVERGENCE Server SS9100」(SS9100)との組み合わせを提案している。

 SS9100は、N900iLがFOMAの圏内/圏外にいるか、無線LANにアクセスできるエリアにいるかを見て、内線としてかけるか外線としてかけるかを判別。自動的に転送発信する機能を持っている。

 また現在取り組んでいる課題として、PC用ソフト「Com@WILL」と連携した新機能を紹介した。

 1つは業務用アプリケーションとの連携。そしてもう1つが“プレゼンス”をより利用しやすくする試みだ。例えば、ただN900iLの状況が分かるだけではなく、固定の多機能電話機やPHSまで含めた、よりきめ細かいプレゼンスを表示できるようにする。また、単に「会議中」とプレゼンス表示して着信拒否するだけでなく、「メールか伝言にして」「チャットなら受けられる」「こちらからかけ直す」など、もっと詳しい情報を相手に伝えられるようになるという。

 SS9100は1000台以上のN900iLを収容できる大規模事業所向けのSIPサーバだが、もっと小さな規模向けの製品「SS9100 TypeM」についても発表した。既存のPBXに接続することで、N900iL導入用のアダプタとして利用できる。

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