5分で分かる、今週のモバイル事情10月22日〜10月28日

» 2005年10月28日 23時23分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

J:COM、ウィルコムと提携してMVNO参入

 CATV統括運営会社のジュピターテレコム(J:COM)とウィルコムは10月27日、モバイル事業について提携したことを発表した(10月27日の記事参照)。J:COMが、ウィルコムのPHS網を利用してPHS事業に参入する形。年内にサービスの仕様を固め、来年3月から提供を開始する。サービスの名称は「J:COM MOBILE」(仮称)で、ウィルコムの定額プランをベースにした内容になる見込み。J:COM MOBILEユーザーとウィルコムユーザー間も定額通話ができる。

 J:COMは以前から、移動体事業参入に意欲を示していた。J:COMは既にテレビ、電話、インターネット接続の3つのサービスを“トリプルプレー”で提供して、約200万世帯の加入を抱えている。新たにJ:COM MOBILEを加えることで「トリプル+ワン」を目指し、顧客満足度の向上を図る。

 ウィルコムにすれば、どの通信グループにも染まっていない“独立系”の通信事業者であるJ:COMと提携することは、FMC戦略上有益な一手となる。提携によって回線卸売りの収益が見込めるほか、“定額通話プラットフォーム”に参加するユーザーが増える、といったメリットがある。今後は音声定額の共有に止まらず、データ通信サービスでも連携していきたい考えだ(10月27日の記事参照)

携帯をクレジットカードに――少額決済推進に向けた動き

 JCBを中心としたクレジットカード会社10社と、KDDI、ボーダフォン、JTBは、「おサイフケータイ」などモバイル環境での少額決済を推進する協議会を設立した(10月25日の記事参照)

 JCBが展開する「QUICPay」システムを各社の共通インフラとし、「おサイフケータイ」を使ってのクレジット少額決済が普及することを目指す。QUICPayの仕組みにクレジット各社が乗り、1台のリーダーライターで複数クレジットカードの決済が行えるインフラを築くことが目標だ。しかし今回の協議会には、おサイフケータイの稼動台数のほとんどを占めるドコモと、業界大手の三井住友カードが含まれていない。

 同じ25日、フェリカネットワークスがクレジットカードのショッピング、キャッシングをおサイフケータイで行うためのサービス基本仕様を策定したことを発表した(10月26日の記事参照)。金融機関各社を対象にしたもので、この基本仕様に沿って開発することにより、サービス事業者は、おサイフケータイを使ったキャッシングやクレジットショッピングといったクレジットサービスを、従来よりも簡単に構築できるようになる。

 フェリカネットワークスが発表した基本仕様は、JCBが推進するQUICPayとは異なる仕組み。フェリカネットワークスでは「ドコモ、三井住友との話は進んでいる」とコメントしており、QUICPay推進の協議会と対立する構図になるという見方もある。

ドコモ、NEC中間決算

 NTTドコモは10月28日、2005年度上半期の決算を発表した。減収増益。2006年3月期の営業利益予想を200億円上方修正し、8300億円とした。設備投資に230億円をかけ、FOMAエリアの早期拡大や、料金システムの変更を行う(10月28日の記事参照)

 NECは10月27日に減収減益となる中間決算を発表した(10月27日の記事参照)。携帯電話端末部門の不振が全体を引っ張る構図が続いており、通期出荷台数予想は大幅に下方修正し、当初の1500万台から1000万台へと3分の2に減らしている。

総務省、携帯緊急通報の高度化に向けた改正案

 総務省は10月25日、携帯電話やIP電話からの緊急通報の高度化を進めるため、省令案等の改正案を作成したと発表した。2007年4月の施行を予定している(10月25日の記事参照)

 改正案の柱は3つ。1つは、発信者の場所を管轄する警察機関などに接続すること。携帯電話では、基地局の場所から、近接の警察機関などに接続する。2つ目は、発信者の電話番号と位置情報を送信する機能を搭載することだ。第3世代(3G)携帯電話はGPS測位機能を基本的に備えることになる。3つ目は、警察機関などの側で通話を終えない限り、通話を終了しないようにすることとなっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.