ボーダフォンはおサイフケータイにどう取り組むのか?Interview: (1/3 ページ)

» 2005年12月13日 16時36分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 NTTドコモ、auに続き、この秋から「おサイフケータイ」サービスに参入したボーダフォン。対応サービスの提供も少しずつ始まっている。

 日本の携帯市場だけのサービスであるおサイフケータイ。本社を英国に持つボーダフォンは、おサイフケータイサービスをどのように提供していこうと考えるのか。ボーダフォンプロダクト・サービス開発本部の木下直樹氏に尋ねた。

ボーダフォンプロダクト・サービス開発本部の木下直樹氏

英国のボーダフォン本社もおサイフケータイには注目している

 おサイフケータイサービスでは最後発となるボーダフォン。ボーダフォン独自の機能をいくつか搭載している。

 1つがロック機能だ。端末全体、あるいはFeliCaチップにロックをかける機能は3キャリアすべてのおサイフケータイに共通しているが、ボーダフォン端末の場合は、リモート操作での場合でも、FeliCaチップだけにロックをかけられるようになっている。ロックする手段として、設定済み電話番号から電話をかける方法のほか、端末にメールを送る方法が用意されている点も特徴だ。

 もう1つが、三者間通信(10月29日の記事参照)を応用した機能である。三者間通信とは、リーダー/ライターからデータをFeliCaチップに送り、そこから携帯に働きかける(アプリを起動するなど)機能だ。三者とは、FeliCaチップ、携帯端末、リーダー/ライターを指す。

 リーダー/ライターにボーダフォンのおサイフケータイをかざしたときにできることは、mail toを使ってメーラーを立ち上げる/web toを使ってwebブラウザを立ち上げる/ポップアップウインドウでメッセージを表示させる/端末を振動させる※の4つ。メーラーを起動するときには、新規作成する宛先と本文まで埋めて立ち上がるようになっている※※。

※ただし、端末側で「外部起動設定」をオンにしておくことが必要
※※宛先、メール本文はリーダー/ライター側で設定しておくことになる

 このような独自機能の拡張について、ボーダフォンではどのように考えているのだろうか。「三者間通信の使い方では、我々は(他キャリアより)先を行っているという自負がある。もっといろいろ、面白いことをやりたいという気持ちはあるものの、おサイフケータイは3キャリア共通のプラットフォームになっているため、あまり(独自機能を)進めては他のキャリアに迷惑をかけてしまうという心配もある」(木下氏)

 もっといろいろやりたいと考える理由の1つは、英国のボーダフォン本社のプレッシャーが強いためだ、と木下氏は話す。「“携帯電話に非接触ICを載せる”ということに対しては、ヨーロッパでも米国でも非常に注目している。日本ではたまたまFeliCaだが、世界的に見れば非接触ICの技術はほかにもある。例えば米国ではTypeAを使うかもしれないし、ヨーロッパではTypeBを使うかもしれない。日本でどのように(FeliCaを使った)サービスを運用し、展開していくかということについて、ボーダフォン本社はものすごく期待していて、その強いプレッシャーを感じる。そのためには独自性を出していきたいという気持ちがもちろんある。しかし、『ボーダフォンだけ別のリーダー/ライターにさせてください』とは言えない。どこまでならできるか、許容範囲を探っているところ」

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