2月17日、KDDIは大阪で、最新技術とモバイルWiMAX実証実験を紹介するイベント「ウルトラ3G ショーケース」を行った(2月16日の記事参照)。
KDDIの次世代ネットワークへの取り組みと、その中でのモバイルWiMAXの実証実験の結果についてリポートする。
KDDIが掲げるウルトラ3Gとは、携帯電話の進化における1段階ではなく、キャリアのネットワークやサービスの在り方の本質的な転換を意味している。発表会の冒頭、挨拶をしたKDDIの代表取締役執行役員副社長の伊藤泰彦氏は「(ウルトラ3Gは)4Gの前の携帯電話ではない」と断言する。
「(重要なのは)すべてがIPにコンバージするということ。固定、移動、放送までもがIPベースのコアネットワークに統合される。その中でモバイルWiMAXは(アクセス手段における)重要なコンポーネントの1つ、という位置づけになる」(伊藤氏)
ウルトラ3Gの世界においては、サービスがアクセス手段に縛られなくなる。EV-DO Rev.A以降の携帯電話技術の進化、FTTHなど固定通信サービス、無線LAN、そしてモバイルWiMAXなどはウルトラ3Gを構成する「多様なアクセス手段」である。この世界では、ユーザーが置かれたその時々の環境で、利用可能なアクセス手段の中から最適なものが自動的に選択されてサービスが提供される。
「ウルトラ3Gは多様なアクセスを組み合わせますが、その中で重要なのは(異なるインフラであっても)シームレスであること。KDDIはこれを『オーバーレイ・アプローチ』と呼んでいます」(伊藤氏)
実はこのシームレスな統合というコンセプトは、すでにauで実践されている。auでは新たな通信方式の導入期において、必ず1つ前のネットワークの上にシームレスに統合し、ユーザーから見て「エリアが途切れない」ようにしてきた。これを複数の接続インフラで踏襲するのがオーバーレイ・アプローチと言える。
もう1つ、ウルトラ3Gの鍵になっているのが3GPP2で標準化している「MMD (MultiMedia Domain)」である。これは同一のセッションを途切れさせずにサービスを切り替えるもので、例えば携帯電話で着信したテレビ電話の映像を、自宅のテレビやPCに映し出すといった事がシームレスに行える。
発表会では、カメラ付きPDAで受信したテレビ電話を、会話を維持しながら固定テレビやカメラに切り替えていくというデモンストレーションが行われた。MMDについて伊藤氏は「単なる1ナンバーではなく、サービスのFMCを実現するもの」と紹介した。
ただし、MMDの実現には対応ハードウェアが増やせるか、という課題もある。携帯電話と違い、デジタル家電やPCの新技術対応や普及は、キャリア主導ではできない世界だ。KDDIとしてはメーカーやキャリアにMMD普及に向けた働きかけをするが、「サービス開始初期はMMD用のSTBを家庭のテレビやデジタル機器に接続する形になる」(技術説明員)という。
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