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» 2006年09月08日 12時17分 公開

一体型カードで“スピード感を増す”FeliCaクレジット神尾寿の時事日想:

プラスチックのクレジットカードにiDの機能を搭載した、一体型カードを発行すると発表した三井住友カード。三井住友カードだけでなく他社もこの流れに追従すれば、FeliCa決済の利用者・インフラは今後数年でかなりの勢いで増えるのではないだろうか。

[神尾寿,ITmedia]

 9月7日、三井住友カードとNTTドコモは、ドコモのおサイフケータイで利用できるクレジット決済方式「iD」を、2007年1月よりクレジット一体型カードに対応させると発表した(9月7日の記事参照)。これはクレジットカードにFeliCaチップを内蔵し、iDの機能を搭載するもの。ユーザーはこの新たな一体型カードをiD対応リーダー/ライターにかざすだけで、簡単にクレジット決済を行うことができる。

 今回の施策の狙いは、利用者の裾野を広げて、ユーザー数を一気に増加させることだ。三井住友カードでは2007年1月から新規発行するすべてのクレジットカードにiD機能を搭載する方針である。

 「基本的にはプロパーカード、法人カード、提携カードすべてを対象にしていきたい。現在、iD対応をしていない一部の提携カードについても、現在、提携先と(iD内蔵化の)話し合いをさせていただいている」(三井住友カード企画部広報室)

 また既報のとおり、既存のカード会員も2007年1月からiD内蔵の一体型カードに変更できる。こちらはユーザーによる申し込みを前提にしており、クレジットカードの更新時に自動的にiD内蔵一体型カードに切り替わるものではない。しかし三井住友カードでは「今後、様々な形で(iD内蔵カードを訴求する)キャンペーンの実施を考えている」(同上)という。

一体型カードはiDの普及を促進

 iDはドコモのDCMX/DCMX miniだけで「7月末時点で約50万人」の会員数を持っており、利用者数の多さでは優位性を持っていた。これに加えて三井住友カードが一体型カードの標準採用に踏み切ることで、同社の新規発行カードすべてがiD利用者数として上積みされる。さらに三井住友カードの既存会員数は1406万人(2006年3月時点)であり、これら既存ユーザーの一体型カード切り替え分も期待できる。来年以降、iD利用者が数百万人の単位で増えていくのは確実だ。三井住友カードでは「三井住友カードiDのユーザーを、2008年度中に1000万人にすることを目指す」(広報室)という。

 さらにiDが、“おサイフケータイだけ”でなくなることは、ふたつの面でメリットがある。

 1つはauやボーダフォンなど、ドコモ以外のキャリアを使っていたり、ドコモでもおサイフケータイ以外の機種を使っているユーザーも、iDの利用者として取り込めることだ。特に「iDはドコモだけ」の状況が改善できることは、iDの加盟店を増やす上で有利に働く。筆者は、早急にauとボーダフォンのおサイフケータイもiDに対応すべきだと強く感じているが(7月24日の記事参照)、今回の一体型カードの登場によってドコモユーザー以外にもiD利用の選択肢が与えられたことは喜ばしいことだと思う。

 もう1つが「リテラシーのハードル」が大幅に引き下げられることである。iDは、ドコモのDCMXを筆頭に、簡単に利用開始できるように作り込まれている。しかし、おサイフケータイを所有し、初期設定をして使い始めるには、ユーザー側にサービスの認知と理解が必要だ。おサイフケータイならではのメリットや可能性は大きいが、当面の利用者数を拡大するには、馴染みのあるプラスティックカードを“かざすだけ”という一体型カードの方が有利である。iDの認知度向上、普及と利用促進にとって、一体型カードの登場は追い風になる。これは、DCMXなどおサイフケータイ型決済の利用促進にも繋がるだろう。

一体型カードはFeliCaクレジットのトレンドになる

 今回、三井住友カードが一体型カードの標準採用に踏み切ったことで、iDの利用者層は一気に拡大する。この動きを、QUICPayやスマートプラスを採用するイシュア各社が傍観するとは考えにくい。FeliCaクレジット機能をプラスティックカードに内蔵する一体型カードの動きは、今後の業界トレンドになるだろう。これにより、2007年にはFeliCaクレジットのユーザー数が爆発的に増える。

 主要なイシュア各社の1年間の新規発行枚数を鑑みれば、2007年だけで500〜600万人が何らかのFeliCaクレジットを手にする事になるだろう。電子マネーの普及や加盟店拡大も拍車がかかっており、FeliCa決済の社会インフラ化のスピードは、さらに速くなりそうだ。

 一方でおサイフケータイは、これらカード型で急拡大するFeliCa決済市場を、いかにスムーズに取り込むかが重要になる。FeliCa決済市場は携帯電話ビジネスにとって大きなチャンスだ。おサイフケータイの普及と利用促進、新ビジネスの展開に、よりいっそうの注力が必要だろう。

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