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» 2006年09月20日 12時02分 公開

番号ポータビリティの序盤を制したのはauか――ドコモ、ソフトバンクの課題 神尾寿の時事日想

10月24日に始まる番号ポータビリティ(MNP)。MNP事前予約サービスを始めるなど速い動きのauに対し、ドコモ・ソフトバンクモバイルは秋冬モデルの発表も行っていない状態だ。9月の各社の動きをまとめた。

[神尾寿,ITmedia]

 9月21日、auの「W43H」と「W43CA」が発売される(9月19日の記事参照)。同社はすでに「W43S」の発売を開始しており、“秋冬モデル”のうち3モデルが店頭に並ぶことになる。

 auは10月24日に始まるMNPに向け、他社に先駆け秋冬商戦向けの新機種・新サービスを発表、MNP事前予約サービスでも先手を打つなどその動きは速い(8月9日の記事参照)。筆者は先月から日本各地の状況を視察・取材しているが、それぞれの地域での広告活動、auショップでの販売キャンペーンでも、ドコモやソフトバンク(ボーダフォン)を出し抜いている。例えば、愛媛県松山市では繁華街である大街道商店街をauの広告が埋め尽くし、宮城県仙台では駅構内の吹き抜けに巨大なauのポスターが吊り下げられていた。このような地方における大規模かつ地域に根ざした広告宣伝やマーケティング活動は、本来はドコモが得意としてきたことだ。

 大票田の東京においても、駅や繁華街を中心に「顧客満足度No.1」を訴えるauの広告の増加が目につく。携帯電話への興味が薄い一般ユーザーでも、MNPの話題とともに“auの元気のよさ”が印象づけられているだろう。

 KDDIではauの事前予約受付の状況について「基本的に公開しない方針」(KDDI広報部)だが、販売店や消息筋の情報を総合すると、他社に比べて好調に推移している模様だ。MNPに向けて先手を打ったauの戦略は、成功していると言える。

ドコモとソフトバンクの課題

 一方、ドコモとソフトバンクは未だにMNPに向けての“秋冬モデル”の発表すら行っていない。

 特にドコモは各地の販売現場から「商材(新製品)がなければマーケティングのしようがない」という不満の声が上がっている。ドコモの地域会社、支店と専売店のMNPに向けた士気の高さはauに負けていないと感じるのだが、新製品の発表・投入で先手を打たれたことが販売現場の痛手になっているようだ。MNPに向けたマーケティングや事前予約の獲得競争では、ドコモ本社の慎重な姿勢での「後出し」が裏目に出てしまっている。auがここまで迅速かつ大規模な攻勢に出ている以上、ドコモは新製品の発表と投入を急ぐべきだろう。

 ソフトバンクは新製品の投入もさることながら、地方のマーケティング体制が弱体化していることが問題だ。特に地域ごとの市場性や顧客属性にあわせたマーケティング、専売店による顧客満足度の向上といった基本的なことができていないように感じる。例えば、九州や四国ではワンセグが見られない場所がほとんどなのに、現地のソフトバンクショップではワンセグが売り物の「905SH」を訴求している状況である。地域性や市場性に合わせた目配りが行き届いていれば、いくら端末ラインナップが不利でも、このような施策は行われないだろう。これはボーダフォン時代から言えたのだが、マーケティングの中央集権化、都市部・量販店の偏重姿勢がソフトバンク体制になってさらに進んでいる印象を受ける。

10月前半が「序盤の激戦」

 この9月、MNPに向けた各社の序盤戦はauが終始リードする形で推移している。特に今年年内のMNP利用者は、そもそもMNP利用意欲が高いユーザーが多いため、auが9月中の事前予約獲得で優位性を保てたメリットは大きい。

 ドコモとソフトバンクにとっては「後出し」の優位性はなくなり、「出遅れ」のデメリットの方が大きくなりつつある。早期の新製品・新サービス発表と、総力を挙げてのマーケティングが必要だろう。

 MNP開始は10月24日だが、すでに「事前予約」という形で序盤戦は始まっている。ドコモとソフトバンクの巻き返しがなるか、それとも年内いっぱい後手後手に回るのか。10月前半が序盤の激戦だ。まずは、この行方に注目である。

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