新バージョンのFeliCaチップは、FeliCaチップ同士で通信できるようになったため、903i(新バージョンFeliCaチップを搭載した携帯)同士をかざすと、携帯内のデータを送受信できるようになった。送れるデータは、自局電話番号やアドレス帳情報、画像ファイルなど、ちょうどこれまで赤外線通信でやりとりしていたようなものだ。
FeliCa内に入っているデータについても、技術的には送受信が可能だという。「PaSoRi」(PCで利用するFeliCaのリーダー/ライター)のように、903iにEdyやSuicaのカード、他のおサイフケータイをかざしてデータの履歴などを読むといったことも、将来的にはできるようになるだろう。「チップとしてはリーダー/ライター機能に対応している。PCでいう“Edy Viewer”のようなアプリを事業者側で提供していただければ、903iでカード残高や利用履歴を確認する、といった使い方ができるようになる」(説明員)
トルカの仕様も拡張された。トルカはFeliCaを利用した電子クーポン/チケット機能で、対応のおサイフケータイをリーダー/ライターにかざすと自動的に受け取れるのが特徴だ。トルカは端末内の専用領域に保存され、赤外線を使って他の対応端末に送ったり、メールに添付して送ったりできる(11月7日の記事参照)。トルカについての大きな変更点は2つある。
1つは、リーダー/ライターから直接、端末内のトルカを読み取れるようになったことだ。従来は、受け取ったトルカを端末へ保存するのは自動だったが、トルカを利用するにはユーザーが端末内からトルカを選んで表示し、店員に見せる必要があった。しかしリーダー/ライターから端末内のトルカを呼び出せるようになったことにより、たとえばiDやEdyなどで決済をした場合、支払いと同時に使えるトルカがあるかどうかチェックし、ない場合には次回来店時に利用できるトルカを発行する、などのアクションが可能になる。
もう1つは、トルカに日時の制限や再配布不可指定などを付けられるようになったことだ。使用済みのトルカを別フォルダに保存する仕組みも追加された。従来はこれらの仕組みがなかったので、1度端末内に保存したトルカは何度でも期間無制限で利用が可能だった。しかし新しい仕様では「1回限り/○回以内なら使える」や「今年いっぱい有効」といった制限を付けることができるので、店舗としても発行しやすく、利用履歴やユーザーのトラッキングができるようになった。またトルカの再配布不可指定ができるようになったことにより、ユーザーの絞り込み(例えば“女性だけ有効”“アンケートに答えた人だけ有効”など)が行えるようになるメリットもある。
これまではおサイフケータイの機種変更・故障修理時に、新しい端末で引き続きFeliCa関連機能と使うには、それぞれサービスごとに再登録、再ダウンロードなどの手続きを行わなくてはいけなかった。903iで提供される「iCお引っこしサービス」は、この時の手間を軽減する新サービスだ。
このサービスはドコモショップなどにある、データ移行用の機器を拡張したもので、電話帳データなどに加え、FeliCaチップ内のデータも移行できる。
iCお引っこしサービスを利用してデータを移行した端末では、FeliCaを利用するiアプリ(iCアプリ)の一覧が表示される。ただし、アプリのプログラム本体はFeliCaチップ内に保存されているものではないため、このサービスでは移行できない。移行後に新たにアプリを起動しようとすると、事業者が提供するダウンロード用サイトに接続し、その場でアプリを新しい端末へダウンロード・インストールできるようになる。iアプリの再ダウンロードが必要とはいえ、現状に比べるとかなり手間は省けるようになるといえる。
iCお引っこしサービスは、903iシリーズ(11機種)から次の機種へ機種変更する際に利用できる。903iシリーズの発売と同時期にサービス提供を開始し、利用料金は1回315円。ただし、2007年4月末までのキャンペーン期間中は無料で利用できる。
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