日立システムアンドサービス「μVNC」の場合 :BREWアプリの“売り方”を考える・後編: (3/3 ページ)
携帯向けアプリの開発・販売経験がないメーカーにとって、BREWアプリをどのように流通させるかは難しい問題だ。PCを遠隔操作する携帯アプリを法人向けに販売する、日立システムアンドサービスの取り組みを取材した。
個人向けにもリリースしたいが……
PCを遠隔操作でき、大がかりなネットワークの設定も必要ないとなれば、個人でμVNCを使ってみたいと考える人も多いだろう。実際、同社が開発・提供しているPDA版のVNCは、シェアウェアとして1340円でリリースされている。個人向けの展開は考えていないのだろうか。
「法人向けには、サーバやサポートも含めたソリューションという形が望まれていることが分かったが、個人のニーズがあるということももちろん理解している。アプリ単体で販売するとしたら、月額いくらでサービス提供、という販売方法はおそらく合わないので、アプリを売り切りすることになると思う。個人向けにアプリ提供する場合、価格は2000円以下くらいでなければ買ってもらえないだろう」(尾崎氏)
今年中に個人向けに販売することを目指して準備中、というが、まだ可否は白紙状態だという。「個人向けBREWアプリは審査が厳しく、最初に必ず『どういうビジネスをするつもりか』を明らかにしなくてはならない。しかし実用アプリではそういう前例を聞いたことがない」と尾崎氏は話す。もう1つの悩みが審査にかかる時間だ。「個人向けBREWアプリの審査には時間がかかり、数カ月は見なくてはならない。徐々によくなっていくだろうとは思うが、しかし数ヶ月待たされたらホットではなくなってしまう。流れの速い携帯の世界で、これは致命的なのでは」
「BREWアプリは公開まで、なぜ時間がかかるのか」でも触れたように、個人向けBREWアプリの審査には数ヶ月という時間がかかり、これをアプリの本数×対応端末数だけこなさなくてはならない。また、auの公式コンテンツプロバイダとなり、公式サイトを持たなくてはならないという条件もある。
これまで個人向けBREWアプリはほとんどがゲームだった。しかし、今後携帯電話を業務などに積極的に利用する人が増えるにつれ、新しいタイプのBREWアプリもたくさん登場してくることだろう。ゲームアプリとは違う、実用アプリならではのビジネスモデル、流通・販売方式をこれからは真剣に検討すべきではないだろうか。
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