激戦地、ゆえの「FeliCa / おサイフケータイ対応」──長崎県バス協会に聞く:特集:FeliCa携帯、本格始動(4/4 ページ)
「おサイフケータイ」でも利用できる、「モバイル長崎スマートカード」は、バス4社で共通利用する。FeliCa採用の理由、そして今後の課題を聞いた。
なお、共通領域を使用するFeliCaアプリの場合、ライセンス料は「現行ではアプリの共通領域の利用設定ごとに発生するため、端末を買い換えてモバイルFeliCaチップが変わると、新たなアプリ設定ごとにライセンス料が必要になる。JR東日本のようにFeliCaカードでデポジット制を取る事業者では、使い捨てリスクは少なく1枚のカードの継続利用年数も長くなるだろうから、現時点では「おサイフケータイの方が、使い捨てリスクやカード原価の点で有利」とは一概に言えないだろう。
モバイル長崎スマートカードの今後
こうして始まったモバイル長崎スマートカードであるが、今後の展開として特に重視しているのが、マルチキャリア展開だという。
「現在はNTTドコモのおサイフケータイにしか対応していませんが、当然ながらau、ボーダフォンのおサイフケータイにも対応したい。auについてはアプリの方式が違うので対応の負担が大きいのですが、一方で若年層のシェアが高いので、通学定期での(モバイル長崎スマートカードの)利用を考えれば、『それでも早期に対応したい』と考えています」(中塚氏)
その次のステップとして重視しているのが、オンラインチャージやオートチャージ機能の実装だ。
「現在、チャージはバス車内で運転手が行っていますが、停車時にチャージにかかる時間やお客様の利便性を考えると、いつでもチャージできるようにしたほうがいい」(中塚氏)
電子マネー利用には
一方、松山市の伊予鉄道が取り組むような、「電子マネー」の導入と拡大による地域通貨化という方向性(8月30の記事参照)については、モバイル長崎スマートカードは消極的だ。
「(モバイル長崎スマートカードは)複数のバス事業者が採用する電子乗車券システムで、回数券の代わりとして導入しています。その利用分を小売店など他の業種まで拡大しようとすると、従来の(事業者間精算の)仕組みを変えなければなりません。例えば、回数券扱いだから導入している10%の割り増し利用分をどうするのか、といった課題が出てきます。
現在はあくまでバスの利便性を向上するツールとして考えていまして、電子マネーとしての利用まで踏み込んだ議論はしていません」(中塚氏)
長崎県バス協会としては、今後もバス利用の利便性向上という視点でモバイル長崎スマートカードを進化させていき、「3キャリア対応後の、将来的な目標は(おサイフケータイ利用者を)カード利用者の3割〜4割程度にしたい。利用履歴の確認ができるなど、カード型に対する優位性は継続的にアピールしていく」(中塚氏)という。
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