ついに対応携帯電話が登場した地上波DMBの実力:韓国携帯事情(2/2 ページ)
韓国でも、地上デジタル放送(地上波DMB)に対応した携帯電話が発売された。韓国のユーザーが、新端末の使い勝手やサービスをどう評価しているのか調査した。
販売店員に聞いた地上波DMBの現状
ソウル市東部に位置する江辺駅に直結する大型電気店「テクノマート」の携帯電話売り場でも、トレンドは地上波DMB携帯だった。多くの店が地上波DMB携帯を目玉に掲げている。
「(地上波DMBは)新機能ということで引きはありますが、どちらかといえば衛星DMB携帯の方がよく売れています。やはり(地上波DMBには)画質や受信の問題があるからでしょう」というのは、テクノマートの人気携帯電話ショップ「江辺通信」の店員だ。
同氏によると地上波DMB用の基地局は現在、ソウル市の北東部と中部、そしてソウル市郊外の京畿道に位置する3つの山に設置されているのだという。3カ所しかないので、そこから遠ざかったり、建物や地下鉄の中に入ったりすると受信ができなくなる。電波の受信が不安定になると、映像がざらついたり途切れたりしてしまう。ビルの6階にある江辺通信でも地上波DMBの受信は不可能なため、お客さんが来ても実際にデモして見せられない状態だった。
「さらに地上波DMBは6チャンネルであるのに対し、衛星DMBはビデオチャンネル11局、オーディオチャンネル26局と選択肢も多い。通常の民放テレビが地上波DMB、ケーブルテレビと衛星放送が衛星DMBだと考えれば分かりやすいですが、内容が充実し受信も安定しているから、ユーザーは有料でも衛星DMBを選択します」
途切れなく見られるということには、無料という魅力を持ってしても太刀打ちできないようだ。
しかし今年上半期中に地上波DMBの視聴環境は大きく整備される。ビル内や商店街の中でも途切れず受信できるよう、小型ギャップ・フィラーが安価で供給される予定であるほか、6月頃からはソウル市の全地下鉄でも問題なく受信できるような体制が整えられるという。
また衛星DMB事業者の韓TU Mediaを抱え、地上波DMBサービスに踏み切れずにいた韓SK Telecomも、ユーザーの声に応える形で3月から地上波DMB対応携帯の販売を発表している。昨年1年間、サービス提供の是非で揺れていた地上波DMBだったが、実際に動き始めた今となっては短い期間で状況は大きく変わるものと思われる。キャリアがどんなビジネスモデルを確立し、全国展開はいつ頃までに行われ、衛星DMBはどうなっていくのか。これからが本当の勝負だといえよう。
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