韓Pantechに聞く、簡単ケータイ「A1406PT」と日本市場:韓国携帯事情(2/2 ページ)
2005年12月に、韓国メーカーとして初めて日本のキャリア向けに端末を供給したPantech。2006年9月には2機種目の「A1406PT」も発売される。そんな同社に新機種や日本市場での戦略について聞いた。
韓国には存在しない中・高年齢層向け携帯
日本市場向けに2機種を開発した経験を通して、Pantechは日本市場に対してどんなことを感じたのだろうか。池氏は「基本に忠実なこと。これは予想以上に感じました」と話す。
「品質に対する厳格な基準があり、それを徹底管理するのですが、韓国や他国では暗黙の了解で進めていける習慣的な部分でも、1つ1つを記録・分析していく。それをこなしていくのに苦労しました」と池氏は話した。こうした部分は、A1406PTを作るうえでも大変だったようだ。
ちなみに韓国には中・高年齢層向けの携帯電話というのは存在しない。そんな中で、A1406PTのような端末を日本のキャリアに提供することに対してどう思うか聞いてみたところ「(飽和状態の)日本市場は成長性が落ちてしまい、競争も激化している。そのため中・高年齢層のための端末が必要となるのでしょう」という答えが返ってきた。さらに「日本の中・高年齢層は機能の活用度が大変高い市場でもある」と分析する。
「例えば韓国の中・高年齢層は、端末を通話だけにしか使わないので、A1406PTのような携帯電話はないわけですが、日本では中年以上の方もメールなどをよく使っている。こうした部分も中・高年齢層用端末の需要が高い理由なのでは」(池氏)
2005年12月のA1405PT投入から、次のA1406PTまでは約9カ月の時間を要した。しかし、これはほぼ同社の計画通りのスケジュールだという。ややゆっくりとした歩みではないかとの問いに池氏は「段階的に進めていくことが大切。ただ、今後はもっと多くの端末を出したい」と答えた。
Pantechは、今後も継続して日本市場向けの端末を開発していきたいという。池氏は「日本市場ではハイエンド端末が好まれるので、今後はそれに合わせたものも開発したいと考えています」とも話しており、KDDIの意向次第では、さらに高機能な端末が登場する可能性もある。
日本のみならず、世界に向けて携帯電話を販売しているPantechだが、同社の世界戦略のキーワードは、ターゲットとする市場を絞って注力していく「選択と集中」。その「選択と集中」の対象となっているのが、韓国および米国、そして日本だ。こうした戦略の下、開発力を集中して繰り出されるA1406PT。「すでにかなりの数を納入していますが、人気を得てさらに追加で納入できるとうれしい」(池氏)と端末にかける意気込みを話した。果たしてA1406PTは市場に受け入れられるのだろうか。9月の端末の発売が楽しみだ。
佐々木朋美
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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