ニュース	2002年6月28日　11:31 PM 更新

NTT-MEとNEC、IP電話のコンシューマー販売に本腰

IP電話用電話番号の付与を見越して、IP電話事業者が動き出した。NTT-MEとNECカスタマックスが協力し、USB接続の受話器型端末「USBフォン」を使った新サービスを今秋にも開始する

　今秋にも付与される見込みとなったIP電話用電話番号を見越して、IP電話事業者が動き出した。エヌ・ティー・ティー・エムイー（NTT-ME）とNECカスタマックスは6月28日、個人・SOHO向けのIP電話サービスに関する提携を発表。今秋にも「WAKWAKコール・ゴーゴー」をコンシューマー市場に本格展開する方針を明らかにした。

手元のキーで電話番号を入力できるのが魅力の通称「USBフォン」。一般的なヘッドセットより音質を向上させている点も特長

　NTT-MEは、一般加入者電話にもつながるWAKWAKコール・ゴーゴーを昨年12月から提供、現在までに約1500の契約を獲得している。しかしながら、需要の中心はビジネスホンをリプレースする中堅企業だった。コンシューマー向けにも販売はしているものの、まだ食い込んでいるとはいい難い。

　今回の提携により、NTT-MEはNECの開発したUSB接続の電話型端末「USB Internet Phone」（以下USBフォン）と自社開発の専用ソフトを組み合わせ、ユーザーインタフェースを簡素化。また、NECの持つユーザーベースとWAKWAKの会員に対する販売の促進、機器とサービスに関するサポート面の連携といった項目を含め、IP電話全般をカバーする広範囲な業務協力を行う。

NTT-ME、第4JunKanビジネス本部の金田哲也本部長

　これと同時に、NTT-MEは月々の基本料金を値下げ。現在は2200円の月額料金をISP料金込みで1000円台に引き下げることも明らかにした。NTT-ME、第4JunKanビジネス本部の金田哲也本部長は、「PCやPDAを持つ企業とパートナーシップを組み、市場開拓に乗り出すときがきた。（PCやブロードバンドの）パーソナル化の流れにのり、いよいよコンシューマー市場に踏み込む」と意気込みを語っている。

NECカスタマックス121推進事業部長の田中重穂氏

　一方、NECカスタマックス側には、落ち込んでいるPC市場の再起という大きな目的がある。同社は、NECグループでコンシューマー向け製品の企画から販売までを担当するマーケティングカンパニー。同社の執行役員で121推進事業部長を務める田中重穂氏は、「単にCPUのクロック周波数を上げるだけではなく、PCの利用シーンを増やすことで本体や周辺機器の販売を拡大したい。コミュニケーションサービスとの連携により、ライフラインにPCを浸透させる」と提携の狙いを説明した。

ワンクリックでアプリケーション変更

　NTT-MEは、7月下旬に5000人以上の一般モニターを募り、USBフォンを使ったIP電話のトライアルサービスを開始する予定だ。9月をメドに商用化する方針。

　新メニューでは、USBフォンを使った高品質通話に加え、TV電話や各種アプリケーションとの連携を重視する。もちろん、USBカメラなどをPCに接続すれば、そのままTV電話として利用できる。専用ソフトは、ワンクリックで音声通話とTV電話、アプリケーションを切り替え可能だ。

TV電話の画面。クリック1つでアプリケーションを変更できる。（画面は試用環境のため、IPアドレスを直打ちしている）

　電話番号は、まず現在と同じWAKWAKコールの専用番号を使い、IP電話番号の付与が開始されたあと、「050」で始まる番号に移行する。その際、「ユーザーに金銭的な負担はかけない」（金田氏）。

　また金田氏によると、今後IP電話の主流になると見込まれるSIP（Session Initiation Protocol）をサポートするという。現在はH.323のみの対応だが、「電話番号付与と事業者間接続の方向性を見ながら、年内にはSIPをサポートしたい。当初は平行して利用することになるだろう」。

　なお、両社は、USBフォンのワイヤレス化やホームゲートウェイなど、機器の共同開発にも積極的に取り組んでいく方針だ。7月3日から幕張メッセで開催される「Networld＋Interlop 2002」では、ワイヤレス化したUSBフォンの参考出展を行う予定になっている。

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関連リンク
ニュースリリース（NTT-ME）
NTTカスタマックス

[芹澤隆徳, ITmedia]

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