リビング+:ニュース 2003/07/14 23:59:00 更新


HDDレコーダーが“AVCサーバー”に進化する

松下電器産業が発表した「DIGA」シリーズの新製品は、DVD国内シェア50%を目指す同社の戦略商品であるとともに、将来の「AVCサーバー」に向けた第一歩だ。松下は、3つのステップでDVD+HDDレコーダーのネットワーク対応を進める

 松下電器産業は7月14日、HDD内蔵DVDレコーダー「DIGA」シリーズに上位モデル2機種を(追加)した。新しいハイエンド製品となる「DMR-E200」には、これまで外付けのオプションだったブロードバンドレシーバを内蔵。DIGAシリーズとして初めて10/100BASE-TXのイーサネットポートを背面に備えた。

 今回の新製品は、国内シェア50%を目指す松下の戦略商品であるとともに、将来の「AVCサーバー」に向けた第一歩となる。パナソニックAVCネットワーク社ネットワーク事業グループホームAVビジネスユニット長の松本時和氏は、「将来のAVCサーバーは、DVDレコーダーを軸に展開していく」として、DVDレコーダーベースの家庭用AVサーバを開発することを宣言した。

新製品の「DMR-E100H」と「DMR-E200H」

 AVCサーバーが登場するのは、今回が初めてではない。昨年の「CEATEC」でコンセプトモデルが出展され、来場客の注目を集めたのは記憶に新しい。これは、DVD&HDDレコーダーにネットワーク機能を付加したもので、PCと動画ファイルをやり取りしたり、MPEG-4変換した録画ファイルをインターネット経由でPCにストリーミング配信するといった機能が想定されていた。

宅内でもPCをリモコンに?

 今回の新製品は、AVCサーバーの機能を一部取り込んだものといえる。例えば、ブロードバンドレシーバを搭載したことで、DMR-E200はアイラテのEPGサービスを使い、Webブラウザ付きの携帯電話やPCからインターネット経由で操作が可能になった。アイラテの電子番組表から番組名を指定して録画予約が行えるほか、予約の取り消しや修正も可能。また、電子番組表から番組名を取り出し、録画ファイルの名称として自動的に設定する機能もある。

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携帯電話でアイラテに接続した

 こうしたリモート機能が使えるのは、外出先に限らない。例えば手元にリモコンが見あたらないとき。インターネットに接続されたPCが手近にあれば、そこから同様の操作が行える。大画面の双方向リモコンを使うような感覚だろう。

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SDカードスロットとPCカードスロットの2つを搭載

 また、DMR-E200と「DMR-E100」には、専用のMPEG-4エンコーダーが搭載されている。メニュー画面で「同時録画モード」をオンにしておけば、MPEG-2録画の開始と同時にMEPG-4ファイル(SD VIDEO準拠、ASF形式)を生成。これを、SDカードに“ダビング”し、外出先で携帯電話(P2102Vなど)や「D-snap」を使って視聴できる。MPEG-4ファイルをSDカードに転送する時間は、1時間の番組で約15秒ほどで済むため、朝が忙しい人にも便利だ。

 MPEG-4をストリーミング配信する機能こそ持たないものの、MPEG-4エンコーダーの搭載は、やはりAVCサーバーで予定されていたもの。そしてSDカードを使って映像コンテンツを“持ち出す”のも、やはりAVCサーバーが備える機能の1つだった(記事参照)。松本氏は、「SDカードやPCカードといったメディアでブリッジするネットワーク。これがわれわれの考えるネットワークの第1ステップになる」と話している。

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DIGAで録画したMPEG-4動画をD-snapで再生中

第2、第3のステップ

 第2ステップでは、「宅内にあるレコーダーのような製品間をイーサネットで繋ぎ、動画をシェアできるようにする」という。 “レコーダーのような製品”と表現したのは、PCがネットワークに加わることで著作権絡みの問題が生じる可能性を危惧したためだろうか。ただ、同社は今年1月にドイツで開催された「2003 International CES」でAVCサーバーの専用クライアントを出展(記事参照)していた。あるいは、こうしたデバイスとの組み合わせた家電ネットワークを検討しているのかもしれない。

 そして第3のステップは、IPネットワークへの接続だ。「既にブロードバンドレシーバーで一部の機能を実現しているが、次の段階では携帯電話などから自宅のサーバにアクセスし、動画を視聴できるようになる」。3G携帯電話やホットスポットといったインフラを活かし、外出先からでも動画コンテンツを視聴できるという。

 もちろん、こうした機能はPCのネットワークでは既に実現されており、とくに目新しいものではない。しかし、DVDレコーダーを「ポストVHS」に据えた同社が、“家電”として取り組むAVCサーバーは、PCよりも遙かに簡単に扱えるはず。ネット家電のみならず、新規契約の増加ペースが鈍化し始めたブロードバンドインフラの需要拡大につながるだろう。松本氏はAVCサーバー製品化の時期は明言しなかったが、「可能なら、第2ステップを2004年に実現したい」と話していた。

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関連リンク
▼松下電器産業
▼DIGA製品情報
▼アイラテ

[芹澤隆徳,ITmedia]



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