「ふるさと納税」金額・件数ダントツ1位は宮崎県都城市 なぜ?(1/2 ページ)

» 2016年06月21日 08時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 2015年4月の税制改正で手軽になったのが追い風になり、一大ブームとなったふるさと納税。総務省が6月にまとめた調査結果によると、15年度の受け入れ額は前年度比4.3倍の約1653億円、件数は3.8倍の726万件に膨れ上がった。その中で“一番人気”に輝いた自治体は──宮崎県の都城市(みやこのじょうし)だ。

 ふるさと納税は、個人が自治体に対し2000円を超える寄付を行うと、住民税の2割程度が還付/控除される制度。寄付への返礼品を自治体が贈ることが多く、税制改正で一般の会社員でも寄付先が5団体までなら確定申告が不要になったため、返礼品がもらえるお得感も相まって人気になった。

 都城市の受け入れ額は42億3100万円、受け入れ件数は28万8000件超。それぞれ全国トップの数字だ。なぜ人気になったのか同市総合政策課のふるさと納税担当者に聞いた。

2015年度のふるさと納税1位になった宮崎県都城市

“日本一の肉と焼酎”で1位に

 県内第2の人口を擁する都城市は、返礼品に何を用意しているのだろう。Webサイトを見てみると、並んでいるのは肉と焼酎。特に目立つのは、地元産の宮崎牛と、同市に本社を構える霧島酒造の「黒霧島」だ。

 同市は14年度から、財務相出身の池田宜永市長の方針で市のPRを強化。PR課を新設し、アニメ『サザエさん』の冒頭パートで市を紹介したり、東京モノレールに都城市の広告を出したり、宮崎市を本拠地とするソラシドエアの機体をラッピングしたり――といったPR作戦の1つとして、「“日本一の肉と焼酎の産地”の都城市を知ってもらうツールの1つとして、ふるさと納税を活用した」(担当者)という。

“日本一の肉と焼酎の産地”をPR

 同市は、牛/豚/鳥いずれも生産高が全国1位になったことがあり(06年度)、畜産が盛ん。「黒霧島」を始めとする霧島酒造の焼酎は首都圏でも知名度が高く、売上高は3年連続トップ。弓や木刀といった地元産品もあるが、あえて強みがある肉と焼酎に返礼品を絞った。

 「返礼品のニーズはやはり“食”が中心。返礼品を食に特化することで、寄付を考えている人にとって分かりやすく、かつ強くアピールすることができた」という。

 各地の名前を冠した銘柄牛はふるさと納税の返礼として人気が高く、中でも宮崎牛は有名。同市が返礼品として贈る宮崎牛や豚肉などは量が多く、「還元率」(寄付した額に対する返礼品の価格)も高いと評判に。ネットでも「おすすめ」として取り上げられることが増え、多くの寄付につながったようだ。

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