同じ仕事なのに、なぜあの人は「結果」を出すのか結果を出す“下ごしらえ”(5/5 ページ)

» 2016年09月02日 07時55分 公開
[上阪徹ITmedia]
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優れた仕事の裏に「膨大な準備」

 アウトプットについて考える、というところまで、仕事についてずいぶん長い道のりを書いてきた。「こんなに準備に手間暇がかかるのか」と思われた方も多いかもしれない。しかし実際には、仕事のほとんどは準備だと語っていた人は多かった。優れた仕事には、間違いなく膨大な準備がある。それがうまくできていないと、アウトプットのクオリティは高まらない。

 やり直し、差し戻しをくらってしまうのは、準備段階に問題があるのだ。ところが、どうしても早くアウトプットに目が向いてしまう。早くアウトプットがしたくなる。しかし、これでは文字通り「準備不足」になってしまいかねない。

 アウトプットは最後の最後、という意識でいい。それまでの準備に7〜8割のパワーをかける。

 そして重要なことは、いきなり完成を目指さないことである。最初は60〜70点程度のものを作り、そこから何度も見返して、どんどん精度を上げていく。

 この方法のメリットは、大きな枠組みがぶれなくなることである。いきなり完成形を目指そうとすると、マクロな視点よりも、どうしてもミクロな視点に向いてしまう。

 焦らず急がずじっくりステップを踏んで取り組む。結果的にそれが、やり直しや差し戻しを防ぐ、最も近道なのである。そうやって優れたビジネスパーソンたちは、着実に力をつけていくのである。

プロフィール:上阪徹(うえさか・とおる)

 1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立。最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビューを得意とする。雑誌や書籍などで執筆するほか、取材で書き上げるブックライター作品も70冊以上に。取材相手は3000人を超える。

 著書に『やり直し・差し戻しをなくす できる人の準備力』(すばる舎)『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター。』など。


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