トヨタ自動車とスズキは10月12日、業務提携に向けた検討を開始したと発表した。環境、安全、情報技術などの分野で連携し、先進技術の開発や新たなルール作りなどに取り組む。
同日、トヨタの豊田章男社長とスズキの鈴木修会長が都内で記者会見した。豊田社長は「自動車産業はこれまでにないスピードで変化している。先進技術の開発が求められるが、1社では限界がある。他社との連携が重要な要素」と強調。鈴木会長は「伝統的な技術を磨くだけでは将来は危うい。スズキの将来のためにしっかりと協議に臨みたい」と語った。
業務提携の具体的な内容については、資本提携なども含めて「これから話し合いを始める」(豊田社長)という表現にとどめた。スズキは価格競争力の高い軽自動車開発やインドの市場開拓に強みがあるが、将来に向けた先進技術の開発に課題を抱える。2015年には、資本業務提携していた独フォルクスワーゲンとの関係を解消していた。
一方、トヨタは技術開発で先行しているものの、他社との連携や標準規格づくりの面で欧米メーカーと比べて遅れている。自動運転技術や環境対応車などの開発競争が加速するなか、提携を足掛かりに両者の課題解決を目指す。
会見の主な一問一答は以下の通り。
──いつから提携を考えたのか。
鈴木会長 9月の初めに豊田章一郎名誉会長に相談したことが始まり。先週豊田社長にも協力を求め、関心を示してもらった。
──オープンなスタンスの提携だとしている。
豊田社長 トヨタはアライアンスが不得意だが、先進的で安心安全なモビリティー社会づくりについては、オープンな体制をとってきた。今回も同じ。それぞれの国に合った自動車やモビリティー社会づくりをけん引してきたスズキとは馬が合うのでは。
──お互いの魅力と期待することは。
豊田社長 スズキには変化に対応する力と周囲を巻き込む力がある。インドではフロンティアとして市場を開拓してきた。その開拓精神を学ばせてもらいたい。
鈴木会長 変化が目まぐるしい環境で、良品廉価の車づくりは行き詰まるだろう。あらゆる分野で協力できれば。
──トヨタの子会社にはダイハツ工業もある。軽自動車の国内シェアは両社で6割にもなる。
豊田社長 ダイハツには新興国の小型車開発の根幹を担ってもらう。ダイハツも含めて、公正で自由な競争が前提。法規制の観点も踏まえて検討していく。
──同じ創業家として共有する気持ちがあるか。
豊田社長 両社とも(静岡県西部の)遠州発祥で自動織機メーカーとして生まれた歴史がある。厳しいグローバル競争に勝ち抜くために必要な「やらまいか精神」を共有していると考えている。
鈴木会長 (豊田章一郎)名誉会長には車の作り方などについてアドバイスや励ましを頂き、親しくしてきた。
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