三菱自動車が10月28日発表した2016年4〜9月期連結決算は、純損益で2196億円の赤字を計上した。4月に発覚した燃費データ不正問題で国内販売が落ち込んだほか、円高が収益を圧迫した。下期は国内販売の回復を見込むが、通期で2396億円の赤字を予想。厳しい状況が続きそうだ。
16年4〜9月期の売上高は前年同期比19.2%減の8649億円、営業損益は316億円の赤字だった。
国内販売台数は37.0%減の2万9000台と大きく落ち込んだ。最大市場のアジアは、ASEAN全体でスポーツ用多目的車(SUV)「パジェロスポーツ」の販売が好調だったものの、インドネシアでは資源価格の低下による景気減退で軽商用車の需要が低迷。7.9%減の14万台だった。一方、北米ではSUV「アウトランダー」が好調。前年と同じ6万9000台を維持した。
営業損益では、生産や販売の停止など、燃費不正問題の影響で170億円が減益要因になった。また、円高の影響で為替差損が339億円発生。タカタ製エアバッグ問題などに関連する市場措置費用も527億円の減益要因になった。
通期は売上高が前期比18.9%減の1兆8400億円、営業損益は276億円の赤字を見込む。
世界販売台数は前回予想から下方修正し、93万3000台の見通し。国内は回復の兆しがあるが、通期では4割減を予想。海外は、好調な北米とアジアで前期並みの販売台数を見込むが、欧州はプラグインハイブリッド車の補助金の減額などを背景に減少する見通しだ。
下期の為替レートは1ドル=100円、1ユーロ=111円を想定。通期では1ドル=103円、1ユーロ=115円。保守的な想定をもとに、為替差損を910億円と予想している。
会見した池谷光司副社長は「下期は何としても営業損益を黒字転換したい」と強調。販売台数や為替を厳しく見積もった上で、信頼と業績の回復に取り組む姿勢を示した。
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