DMMバヌーシーはリアル競馬ゲーム? DMMに直撃1万円からの一口馬主アプリ(2/3 ページ)

» 2017年07月14日 15時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

予想外の注目を浴びたDMMバヌーシー。どういうサービス?

――7月10〜11日のセレクトセールでは、注目度が高かったですね。

 予想外の注目です。本来は7月17日週に正式なプレスリリースを出す予定だったんですが、10日にリアルスティールの全妹を1億6000万円(税・保険込み約1億7521万円)で落札したときに、自然とマスコミ各社が集まり、囲み取材のようになりました。インタビューが終わった後に名前を聞かれまして購買者登録を「DMM.com」にしていたので、「趣味で買っているのか」と思われたらまずいなという思いがあり、そこで急きょ事業計画を明かしました。

――企画はいつからスタートしていたのでしょうか。

 3年前に立ち上がり、約2年半前から動き始めました。競馬事業の参入にはさまざまな条件があり、1つ1つ満たしていきました。セレクトセールに参加したのは今回で3回目です。最初に視察として行ったのが2年前のセレクトセールで、そこで牧場の方を紹介していただきました。去年のセレクトセールでベネンシアドールの2015を1億9000万円(税・保険込み約2億807万円)で落札しています。ただ、当時はJRAの馬主資格もなく、資格を得ることができない可能性も十分にあったので、DMMの名前は伏せての購入でした。

 先日のセレクトセールで購入した馬を含めて、1歳馬が5頭、2歳馬が4頭で、ローンチ時には計9頭の募集を開始する予定です。

――具体的に、どのようなサービスになるのでしょうか?

 スマートフォンアプリ(iOS、Android)とWebサイトから利用できるサービスです。アプリ上で馬を選んで購入すると、自分の馬のレース結果の確認、入出金記録、牧場や厩舎からの近況動画などを見ることができます。動画制作は「情熱大陸」などを手掛けている制作会社に外注しています。週に5日のペースをメドに馬の近況を伝えていきます。

アプリ「DMMバヌーシー」。バーチャルで馬に触れられるような機能も(画面は開発中です)

 UIに3DCGを使ったのは競馬ゲームのような親しみやすさと、バーチャルではありますが馬に触れて愛着を持ってほしいという思いからです。当初はもっと多くの機能を入れていたのですが、アプリが重くなってしまったので機能を減らしました。

 牧場はノーザンファーム、追分ファーム、下河辺牧場など6カ所。今後さらに協力していただける牧場を増やしていく予定です。各牧場の紹介動画を作成していて、牧場長や調教スタッフの方に出演していただいています。今後厩舎の方にもご協力をお願いしたいと思っています。それは牧場や厩舎で働くホースマンの姿や、競争馬が生まれてからデビューに至るまでの姿をお届けしたいからです。それは馬主さんや競馬関係者しか見ることのできない世界だからです。

一口馬主アプリ「DMMバヌーシー」デモ(画面は開発中です)
餌やりやブラッシングもできる(画面は開発中です)

――動画やバーチャルでの表現は、DMMの他事業とのシナジーがありそうです。その他に、DMMだからこそやれることはあるでしょうか。

 DMM.com証券の存在が非常に大きいです。購入や配当金の支払いはDMM.com証券の口座で行うので、申し込みの際にはDMM.com証券の口座が必要です。もともと口座を持っている場合は申し込み手続きをスピーディーにできます。

 レースごとに証券口座に配当金が入る仕組みは楽しいですし、いつでも出金できるという利便性があると思っています。DMM.com証券のノウハウは、DMMバヌーシーを実現するためには不可欠でした。

既存の一口馬主クラブと何が違う?

――このサービスは、既存の一口馬主クラブとどういった点が違うのでしょうか。

 競走馬を所有するには馬代金以外にも毎月さまざまな支払いがあります。育成料、医療費、輸送費などの変動コストが発生します。既存のクラブではそのコストを毎月クラブ会員の方が支払いしています。

 DMMバヌーシーでももちろん同じコストは掛かるのですが、競争馬の6歳末までに掛かる費用を暫定的に計算し、前払いの預かり金とすることによって購入時以降の支払いを必要としません。前払い金には預かり金を含んでいますので6歳末よりも早く引退した場合は残存の預かり金を返還します。初回の購入金額に馬代金、馬の育成費用、販売手数料、管理手数料、サービス運営に関わる費用を合わせた価格で購入していただきます。したがって購入以降は賞金や出走手当てに応じた配当や、早期引退の場合の預かり金の返還などの受け取りだけとなるわけです。

――馬の近況動画などの他に、何か特典はありますか?

 初年度9頭のうち7頭の名前をバヌーシー会員に決めてもらうことを予定しています。現時点で冠名をつける予定はありません。クラブの承認とJRAの規定の範囲内でフルネームの命名権です。決定方法の1つはその馬の最も口数が多い会員が決定する方式です。2つ目は口数に応じて当選確率が比例する抽選方式です。残りの2頭はクラブで決定します。

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