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先日、あるワイドショーを見ていたら、コメンテーターとして出演しているマスコミの元政治部長さんが半笑いで、こんな感じのことをおっしゃっていた。
「私はこれまで官邸や国会など政治取材を30年やってきましたけど、最近の政治家の質は本当に落ちてしまいましたね」
言わずもがな、ここのところ世間をにぎわす「政治家スキャンダル」を受けての発言だ。
「このハゲー!」なんて罵詈(ばり)雑言でパワハラをする国会議員が問題になったかと思いきや、ほどなくその方に負けないくらいの口の悪さでサッカーファンをののしる国会議員が世間の注目を集めた。
不倫がバレて頭を丸めて、「生き恥をさらしても」と泣きながら議員という立場に執着している元・経済産業政務官もいれば、妻子持ちの地方議員と新幹線でベタベタして、2連泊しても「一線は越えてません」と言い張る元タレント議員もいる。
「号泣議員」がすっかりかすんでしまうほど、キャラ立ちした「政治芸人」が次から次へと現れる今、元政治部長さんがおっしゃるとおりだ、と大きくうなずく方も多いだろう。
ただ、この方を悪く言うつもりは毛頭ないが、飲み屋でおじさんたちが「最近の若い奴はダメだよなあ」と愚痴り合っているのと同じ匂いがする。要するに「昔は今よりいい時代だった」という『三丁目の夕日』的な幻想にとらわれている可能性が高い。
客観的に日本の近現代史を振り返ってみても、政治家の「質」が高かったと胸を張って言えるような時代は存在しないからだ。
例えば、よく言われることだが戦前の政治家はメチャクチャで、愛人がいるのは当たり前、なかには、酒乱で不祥事連発、あげくの果てに妻を斬り殺したなんて醜聞が報道されても、「お友だち」である大久保利通が必死にかばって、内閣総理大臣までのぼりつめた黒田清隆なんて人もいる。汚職もわりとスタンダードで、「政商」という言葉が生まれたように、財閥系企業とくっ付いた利益供与や口利きは、当時の政治家の「なりわい」だった。
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