NewSpaceのハブを目指すルクセンブルクの戦略とは?宇宙ビジネスの新潮流(2/3 ページ)

» 2017年11月25日 07時35分 公開

SpaceXはついに有人輸送へ

 SpaceXにとってもルクセンブルクは重要なパートナーだ。ロケット第1段の再利用技術で注目を集める同社にとって、その再利用ロケットによる商業打ち上げの最初の顧客となったのがSESだ。また、ルクセンブルクが目指す宇宙資源開発は、火星への人類移住を目指すSpaceXにとっても重要な技術なのだ。

SESのカリーム・ミシェル・サバ社長 SESのカリーム・ミシェル・サバ社長

 既に同社の打ち上げロケット「ファルコン9」は43回の打ち上げに成功しているが、ショットウェル社長は「ファルコン9およびドラゴンはSpaceXにとって重要なWorkforce(労働力)である」と話し、「収益の観点では打ち上げ頻度を維持することが重要である」と述べた。注目を集めるロケット再利用技術は「人間を他の惑星に連れて行くためには、無事に地球に帰ってくる能力が必要」であると発言しており、単なるコスト削減を超えた目標がある。

 また、国際宇宙ステーションへの物資輸送サービスを既にNASAに提供している同社だが、現在NASAとの契約の下で進めている宇宙飛行士のための有人輸送サービス開発契約は「18年には無人、有人双方のテストフライトが完了すると信じている」とコメントがあった。ついに有人輸送に進出する大きな一歩になるかもしれない。

 今年9月にマスクCEOが発表した次期大型ロケット「BFR」に関しては、昨今各国の宇宙機関が目指している月開発を意識してか、「月面着陸ミッションにも活用できる」とコメントしつつ、究極の目標である火星への人類移住にむけて「輸送システムや現地でのパワージェネレーションの開発に注力している」と話した。

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