仮想通貨の父「サトシ・ナカモト」の正体がバレているのは本当か世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2018年02月22日 07時34分 公開
[山田敏弘ITmedia]

ナカモト探しはどうなったのか

 本題に戻るが、そもそもこれまでのナカモト探しはどういうものだったのか。

 現時点で判明しているとされるナカモト情報は、1975年生まれで、日本に暮らしていたということ。もちろんこの情報も定かではない。ただ彼の書いた電子メールなどから英語のネイティブスピーカーだということは確かだと見られている。

 これまで、いくつものメディアがナカモトを割り出そうとしてきた。特に話題になったのが、米ニューズウィーク誌が14年に飛ばした誤報だろう。

 ニューズウィーク誌は米ロサンゼルスに暮らす64歳の日系米国人であるエンジニアの「ドリアン・サトシ・ナカモト」という実在の人物をナカモトだと記事にした。

 ニューズウィーク誌で働いたこともある経験からちょっと裏事情を話すと、当時、ニューズウィークは雑誌の出版を終了してWebに移行し、新しい編集体制になったばかりだった。するとすぐに再び雑誌を出版するという話が出るなど、内部もゴタゴタしていた。どんどん新しい記者が加わっていくなかで、ナカモトの記事が出たのである。正直、話題が欲しくて「暴走」していたという印象だった。案の定、記事が出ると他メディアから直ちにその根拠の薄さで集中砲火を浴びたのを記憶している。

 とにかく、「ドリアン・サトシ・ナカモト」はナカモトではなかった。すると今度はフォーブス誌が、ドリアン・ナカモトの家から近くに暮らす人物がナカモトだと報じたが、それも結局、間違いだった。

 翌年、シドニーに暮らすオーストラリア人がナカモトだとする記事が、Webメディアのギズモードと、米ワイアード誌に掲載された。本人も自分がナカモトであると主張。英BBC放送も、この人物がナカモトだと報じたが、結局、ナカモト本人と一緒にビットコインを開発していた人たちから、この人物は「偽物」「詐欺師」だと指摘された。

 話はそこで終わらない。最近、新たな話が米国発で飛び出しており、一部で話題になっているのである。先日も知り合いの米国人サイバーセキュリティ関係者が、この話について熱弁していた。

 一体どういう話なのか。

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