今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
航空会社のトラブルが止まらない。
4月9日、米ユナイテッド航空の旅客機でオーバーブッキングが発生し、既に搭乗していたアジア系男性が警察に引きずり出される騒ぎがあった。乗り合わせた複数の乗客がこの様子を動画に収めていて、それがネット上に拡散。口から血を流している男性の様子を記憶している人も多いだろう。
4月21日、米アメリカン航空の機内で、乗務員が母親のもっていたベビーカーを乱暴に奪い、その後母親が号泣している様子がビデオに撮られた。しかもこの乗務員は見兼ねて仲立ちした別の乗客に「やるか!?」とケンカをふっかけ、その映像がネット上にアップされて一気に拡散、乗務員は直ちに停職処分になった。アメリカン航空は謝罪している。
この2つの騒動後、米プロフェッショナル客室乗務員組合はこんな声明を発表した。「客室乗務員たちは、アメリカン航空で乗客が最良の旅を過ごせるよう毎日一生懸命に働いている。しかしながら、飛行機の過密スケジュールや超満員の機内、狭くなる席、頭上の荷物入れが狭くなっていることで、それがどんどん困難になりつつある」
この航空会社に責任を転嫁するコメントには批判の声も上がっている。確かに、だからと言って乗客にケンカを売る理由にはならない。
こうした騒動が続く中、筆者は外国人の元客室乗務員に話を聞いてみた。この人物は、世界のトップ航空会社ランキングで常に上位にランクインし、日本の満足度ランキングでも5年連続1位を獲得しているシンガポール航空で勤めていた。優秀な航空会社の客室乗務員は、一連の問題をどう見ているのか。乗務員たちの間では、オーバーブッキングよりも“ゾッとする”話もあるようで……。
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