湖池屋スコーンは「若者のスナック離れ」にどう立ち向かうのかブランドの“老朽化”防ぐ(2/3 ページ)

» 2019年01月03日 07時00分 公開
[服部良祐ITmedia]

高校生が抱く「昭和」のイメージ

 18年、湖池屋が高校生にアンケートをとったところ多く挙がったのは「昭和っぽいお菓子」というイメージだった。「若い世代に『自分たちのお菓子』だと思ってもらえていない。彼らがユーザーにならないとこのままでは先細るだけ。徐々に首を絞められており、若返りの必要性を感じた」(内田さん)。

photo スコーン全面刷新を手掛ける湖池屋の内田圭亮さん

 他社でも老舗ブランドの“老朽化”は珍しくない。同じくトウモロコシが原料の明治「カール」は約50年親しまれてきたロングセラーだが、17年8月に東日本エリアでの販売を終了した。同様に若いユーザーの取り込みがうまくいかなかったとみられる。内田さんは「ポテトチップスは菓子メーカー各社が非常に力を入れてきた。しかしその他のスナックについては、業界全体があまり新施策を打ち出してこなかったのではないか」とみる。

 一方、高校生に「どんな味のスナックを選ぶか」を聞いたところ、人気が集まったのはスコーンが本来売りにしていた「濃い味」だった。スコーンに対して他ブランドよりこの特徴を評価しているという結果も出たことから「高校生は本当はスコーンを買ってくれる可能性が高い。気付かれていないだけではないか」(内田さん)と考え、彼らに特化したマーケティングを打ち出すことにした。

生地にも味付けて最後まで濃厚に

 こうしてスコーンを全面刷新し始めた内田さんら。従来、スナック菓子のリニューアルでよく取られる手法はフレーバーの変更だ。投資も少なくて済み、期間限定品なども打ち出しやすい。ただ、スコーンを巡っては「小手先のリニューアルでブランドは生まれ変われない。商品の中身もマーケティング手法もフルで変える必要があると考えた」(内田さん)。

 まず、ブランド刷新に際して既存ユーザーを取りこぼさず、さらに支持を厚くするため、スナック自体を改良した。もともとスコーンはコーンでできた「クランチ」という味のない生地の一種に、「シーズニング」と呼ばれるパウダーを付けて味付けしていた。

 ユーザーからは「最初は濃い味がしておいしいが、(1片のスコーンを食べていくと)最後の方は味が無くなる」という声が上がっていた。そこで、クランチにもスイートコーンのパウダーを練りこませて生地自体に甘みや香ばしさを付け、売りである味の濃さが長続きするようにした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.