海外子会社の会計業務、負担が増える? IFRS16対応から始める「資産管理」「不正防止」

会計基準のIFRSへのコンバージェンス(収束)がグローバルで進む中、日本でも「連結会計処理について、連結可能な財務諸表はIFRSに準拠したものとする」との指針が示されている。その対応に向けて、特に中国に進出している企業はどう取り組むべきなのか。

» 2019年12月06日 10時00分 公開
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 あらゆる日本企業に義務付けられている決算報告書の開示。必要なデータを集め、疑問点を確認し、取りまとめる一連の作業に毎年度末、忙殺される経理・財務スタッフも多いだろう。

 その煩わしさがさらに増しかねない事態が、海外に現地法人を構える企業で現実味を帯び始めていることをご存じだろうか。背景には、企業会計基準委員会が2019年6月、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」の見直しを公表したことがある。

 具体的にはこうだ。連結財務諸表を作成する際に、持分法適用関連会社の会計処理について、「同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計方針は、原則として統一しなければならない」(連結会計基準17項)が、「当面の間は『IFRS(International Financial Reporting Standards:国際財務報告基準)』ないしは『米国会計基準』に準拠して作成された財務諸表を連結手続き上利用できる」(実務対応報告第18号)ことが示されている。

 今回の見直しにより、IFRSの最新基準「IFRS16号(IFRS16)」に関する内容が追加され、新リース会計基準での会計処理が求められるようになった。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

現地でのIFRS16対応、これだけの難しさ

 IFRS16号の経理/会計業務に与えるインパクトの大きさは本連載で説明してきた通りだ。あらゆるリース契約の借り手側のオンバランス化が原則的に求められることで、日本基準と比較し適用後の決算開示資料は2倍、仕訳パターンは4倍以上に増加すると見込まれている。のみならず、その下準備として必要なデータを確実に収集できるよう、借り手リース契約を一元把握するための社内的な仕組みの整備とともに、経理業務の負担軽減に向けたシステム側の対応も不可欠となる。

 従来、その強制適用の対象は、国内ではIFRS適用済みの上場企業に限られていた。これが、今回の実務対応報告第18号により、連結対象の海外子会社を持つ未上場企業にも拡大したわけだ。アジア地域に製造拠点を構える企業の数を考えれば、対応に迫られる企業はかなりの数に上ると推察される。

 「もっとも、それは時代の流れでもあります」と説明するのは、プロシップのシステム営業本部 海外ビジネス営業部 海外ビジネス2Gでグループリーダーを務める藤田友秀氏だ。背景には、会計基準のIFRSへのコンバージェンス(収束)がグローバルで進んでいることがある。米国会計基準も、IFRS16と同時期に新リース会計基準が適用された。また、日本企業が数多く進出しており、現在、新旧2つの会計基準が併存する中国も、18年12月に新基準でのIFRS16に準ずる改定を発表。21年1月以降の事業開始年度より、多くの日系企業が該当する中国国内で非上場の企業に対しても、新リース会計による処理が新たに義務付けられる。

実務対応報告第18号について

現地を悩ませるIFRS適用での「負債」発生

プロシップ システム営業本部 海外ビジネス営業部 海外ビジネス2Gの藤田友秀氏

 とはいえ、IFRS16への対応が簡単になるわけではないことが悩ましい。そもそもIFRS適用に向けた作業は、国内本社でも多大な苦労を強いられる困難な作業だ。「その苦労は現地でも変わりません。のみならず、現地にはIFRS16に精通した人材が国内より乏しく、指揮を執る駐在員も不足しがちです。しかも、IFRS対応には、社員の意識変革も求められ、文化や言葉が異なる中での作業となれば、その難しさはなおさらのはずです」(藤田氏)

 こうした状況の中、連結決算書の作成を担う経理・会計スタッフの業務負荷が増す可能性は、現実問題として小さくないのである。

 一方で、IFRS対応には別の難しさもある。それが、リースの資産計上に併せて、将来的な支払リース料に基づく負債計上も求められるために、決算内容にも影響を及ぼすことである。その影響はテナントの賃貸契約を多数結んでいる流通業などで顕著に表れており、海外でIFRSを適用した大手流通企業では、前年比7%増となる8兆円を超える負債を認識したケースもある。無論、これは極端な話ではあるが、リースを利用しているならば、新たな負債計上は避けられない。

 「現地責任者は現場業務に精通している反面、会計面にそう明るくない場合があります。結果、この点からも現地で対応に苦慮するケースが少なくありません」(藤田氏)

 では、課題が山積する中、現地企業のIFRS対応を具体的にどう進めていけばよいのか。その支援の先駆けでありリーダーと呼べる存在が、IFRS対応の固定資産管理ソリューション「ProPlus」で豊富な実績を上げてきたプロシップである。

IFRS16対応の固定資産管理に向けて充実した機能群

 プロシップの支援で見逃せないのが、システム対応で柱となるProPlusの機能の充実ぶりだ。

 例えば、IFRS適用で厄介なのが、既存の会計処理が置き換わるのではなく、そこにIFRSの会計処理が加わることで、現地とIFRSの2つの基準での決算処理が必要となること。つまり、単純計算で作業量が2倍となることだ。

 対して、ProPlusは「自動仕訳機能」により、1つの入力から両方の会計基準の仕訳作成を自動化。また、「複数帳簿機能」や「自動判定機能」により、両者の帳簿を同時に作成・保持することや、両基準にのっとり、契約ごとにリースの種類を自動的に判定することなども可能だ。これにより、現地での会計/経理実務の作業量の増加を最小限に抑えられるわけだ。

 英語、中国語にも対応しているため、現地スタッフも容易に利用に乗り出せる。これほど充実した機能を備えたIFRS16対応の固定資産管理システムはProPlusだけといっても過言ではない。

豊富な知識とノウハウで課題解決をサポート

 そのうえで、プロシップの高度な支援を支えているのが、20の国と地域における138社へのProPlusの導入で培ってきた豊富な知識やノウハウだ。

 「IFRS16には『12カ月未満の短期リース』や、『企業経営に及ぼす影響の大きさ』など合理的な判断から、リース資産のオンバランス化の免除規定も用意されています。それらを上手に活用できるよう、例えば駐在員用の借り上げ社宅のリース判断の他社事例の紹介、プロジェクトの進め方、システム対応のポイントなど、幅広く相談に乗り、情報を提供しています」(藤田氏)

 例えば、システムの現地への展開方法。プロシップとして推奨しているのは、本社でProPlusを導入したうえで、ネットワーク経由で現地に利用させるやり方だ。現地でのシステム対応は言語や商慣習、IT製品の制約などにより問題が生じ、導入が長引きがちだが、この手法なら確実に作業を完了できる。

 加えて、ProPlusにリースだけでなく、他の固定資産のデータも登録させることで、経営に資する新たなメリットを見込むこともできるという。

 「一般に物理的な距離による確認のしにくさから、海外では国内より資産の横流しなどによる不正行為などが生じがちです。しかし、ProPlusに登録させ、本社からにらみを利かせることで、不正抑止効果を期待できます。併せて資産の管理と運用、モニタリングのルールを策定すれば、不正の抜け道までふさげます」

ProPlusはグローバル対応のソリューション

棚卸精度を高めつつ作業負荷を軽減

 プロシップでは、海外工場での資産の棚卸を支援するための物品管理システム「ProPlus Pit」の提供を13年から開始。ProPlus Pitは、台帳上の資産データとバーコードを貼り付けた現物とを紐付けて管理し、棚卸作業を省力化するツールだが、IFRS適用を機にリース資産を含めた固定資産管理の重要性があらためて広く認知されることで、不正抑止を目的としたProPlus Pitの引き合いも現地で伸び始めているのだという。

 「ProPlus Pitの一番の魅力は、その仕組みから資産の状況を目視で確認し、紙ベースでの報告・承認作業が省け、棚卸が大幅に効率化できることです。また、使い方もスマートフォンでバーコードを読み取り、資産の写真を撮るだけと簡単なため、現地スタッフでも簡単に使いこなすことができます」(藤田氏)

 棚卸データの登録や更新の頻度に基づく不正リスク測定を実施しているある企業では、不正を疑われたくないために、逆に登録頻度が増すことで資産の管理精度が高まるという効果も上がっているという。「ProPlus Pitでのノウハウも相当で、省力化をさらに支援するICタグでの管理事例もございます」と藤田氏は頬を緩ませる。

リース資産の管理の重要性が高まる

 IFRS16が国内でも徐々に、しかし着実に広がる中、プロシップが担う役割も今後、さらに大きなものとなりそうだ。

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提供:株式会社プロシップ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2019年12月21日