「客が来ても来なくても怖い」Go To トラベル 観光地・沖縄のジレンマ

» 2020年07月17日 09時55分 公開
[沖縄タイムス+プラス]
沖縄タイムス

 「客が来ても来なくても怖い」。新型コロナウイルスの感染拡大で、国の観光支援策Go To トラベル」の割引対象から東京都発着の旅行を除くことになった16日、沖縄県那覇市の第一牧志公設市場や国際通り周辺の店主らは悩んでいた。書き入れ時の夏に落ち込んだままの客足。だが回復すれば感染リスクが高まるとのジレンマがあるからだ。

「コロナ特価」の札を付けた観光客向け衣料品店。夏の書き入れ時なのに売り上げは激減という=那覇市・市場本通り

 「朝9時から1つも売れない」。午後3時の第一牧志公設市場で、みやげ品店主の西田キミ子さん(77)はため息をついた。「市場そのものの客も例年の2、3割。中国人客もいない」とコロナ禍の影響を語る。

 市場は「Go To −」に合わせ、本来は休日の26日も営業を予定していた。粟国智光組合長(45)は見直しに「皆が不安な中で、全国一斉に始めるよりはいい。今後も、対象地域を絞るなどして段階的に進めてほしい」と望んだ。

 近くの市場本通り。「コロナ特価」を掲げた店で観光客向けのTシャツなどを売る野崎貴弘さん(32)は、東京で過去最多287人の新規感染が分かったこの日、「売り上げは例年の1割にも満たない。客が来ないと困るが、何とも言えない」とこぼした。

 国際通りで40年以上、泡盛などの土産品店を切り盛りする80代女性は、感染拡大によって4〜5月、店を閉めた。

 再開後の売り上げは「1日2、3千円で、千円という日もある。一人が使うお金も数百円ほど」。客が減り、景気も悪いと感じる今、旅費などを割り引くキャンペーンを展開しても「安上がりに旅行したい人がたくさん買っていくとは思えない」と首をかしげた。

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